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2015 年度 実施状況報告書

認知機能障害を中核症状とする人々の遂行機能障害の発現機序に関する計量心理学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 26380919
研究機関東京学芸大学

研究代表者

松田 修  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60282787)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード遂行機能障害 / 発達障害 / 認知症 / 高齢者 / 認知機能 / 実行機能 / 加齢
研究実績の概要

本年度は、昨年度作成した遂行機能の自己評価尺度(実行機能困難度自己評価尺度)に関する成果の学会発表、および以下の3つの研究を行った。
第一に、150人の大学生から得た質問紙調査のデータの中から、欠損値を除いたデータを用いて日常生活における遂行機能の困難度とAQ尺度で測定したASD傾向の程度との関連を調べた。その結果、遂行機能とAQ尺度の合計得点との間には有意な関連が示された。この結果から、自閉スペクトラム傾向が高い人ほど日常生活における遂行機能困難度が高い可能性が示唆された。
第二に、47人の地域在住の一般高齢者を対象に、遂行機能の要素である注意と抑制に焦点を当てた視覚認知課題を作成し、その信頼性と妥当性を検討した。クローンバックのα係数は.69だった。収束的妥当性の検討のために実施したストループ課題と遂行機能低下の自己評価(例、話を聞きながらメモを取るのが苦手になってきた、やる気が低下したと感じることが増えた、物事の優先順位を考えることが苦手になってきた)との間に有意な相関が得られた。弁別的妥当性にはWAIS-IIIの知識を使用したが、認知課題の成績との間に有意な相関はなかった。
第三に、30人の地域在住の一般高齢者を対象に、認知課題によって測定した遂行機能とネットスーパー(NS)画面の操作エラーとの関連を検討した。NSの利用は買い物弱者になりやすい高齢者の生活を支える有力な手段の一つであるが、操作には視覚性のマルチタスクやプランニングが必要とされるため、認知症や加齢による遂行機能低下によって操作エラーが起こりやすくなる可能性がある。実験用に作成した架空のNS画面の操作場面を記録し、操作過程で出現したエラー数と遂行機能課題の成績との関連を調べた。その結果、遂行機能課題の成績と出現したエラー数の間に有意な負の相関関係が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

非臨床群を対象とした基礎的・理論的研究は順調に進み、遂行機能障害を測定する認知課題の検討も着実に実施してきたが、臨床群のデータ収集が思うように進んでいないため。

今後の研究の推進方策

非臨床群を対象とする基礎的な研究の推進に加えて、臨床群に対する本格的な研究を推進する。特に、本年度は、学校などからLD等の疑いで心理学的評価を依頼された臨床事例のデータに基づいて、認知機能と遂行機能障害との関係を計量心理学的に分析することに力を入れたい。

次年度使用額が生じた理由

研究遂行に必要な支出内容に変更が生じたため。

次年度使用額の使用計画

差額については次年度の研究実施において確実に執行する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 実行機能困難度自己評価尺度の作成と信頼性・妥当性の検討2015

    • 著者名/発表者名
      生田雄祐、本村有理、松田 修
    • 学会等名
      日本心理学会第79回大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-09-22 – 2015-09-22

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公開日: 2017-01-06  

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