本研究の目的は、 計量心理学的アプローチを用いて、認知機能障害を中核症状とする人々の実生活における遂行機能障害の発現機序を認知機能面から明らかにすることである。この点を明らかにするために、一般大学生や地域在住の一般高齢者を対象として遂行機能と認知機能の基礎的知見を得るための非臨床群研究と、認知機能低下のために認知症外来を受診した高齢者と、発達障害と関連した困難のために、教師や保護者から臨床心理士による教育相談にリファーされた子供を対象とした臨床群研究を行った。その結果、実生活における遂行機能の困難は、ワーキングメモリ、注意、抑制、流動性推理などの認知機能と関連する可能性が示唆された。
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