研究課題/領域番号 |
26380920
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
谷田 征子 お茶の水女子大学, 人間発達科学研究所, 講師 (60635150)
|
研究分担者 |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10254129)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ひきこもり / メール相談 / 電話相談 / こころの痛み / 孤独感 / emerging adulthood |
研究実績の概要 |
今年度は、電話とメールによるひきこもり相談内容をもとに、青年期だけでなく、成人期のひきこもりの臨床像を捉えることに焦点を当てて検討してきた。具体的には、親からの初回の相談メールをもとにテキストマイニングを行なった結果、ひきこもり本人が10代では性別の差は顕著ではないものの、20代以上になると差異が顕著になり、女性では健康についての記述が多いのに対し、男性では就労についての記述が多いことが分かった。さらに、ひきこもり本人の電話相談の初回のプロトコルを分析した結果、過去に人から否定されたり、批判されるといった体験が根強くあり、人への怖さを感じていることが分かった。また、ひきこもり本人は、「親に対して迷惑をかけている」という思いと、「親に理解してもらえない」という思いが共存していることが示唆された。 さらに、成人期への移行の時期の emerging adulthood に着目し、テキストマイニングを 用いて、ひきこもりの背景を検討した。約10年分の初回相談のデータから、テキストマイニングによる分析を行い、ひきこもり相談の内容の違いを検討した。その結果、ひきこもり本人の相談では、20代において性別の違いが顕著であり、特に男性では学校や職場での不適応が背景にあることが示された。また、年代を重ねることで状況が厳しくなり、心理的負担がより深刻になっていることがうかがわれた。 加えて、海外で発表されたひきこもりに関する研究のレビューを行い、ひきこもりという現象がどのように捉えられているのかを検討し、ひきこもりを理解するためには精神障害という医療モデルだけでなく,ひきこもりの背景となる文脈の理解が重要であることが示唆された。また、電話やメールを用いたひきこもり支援の実際や、年代と性別によるひきこもり本人の状況の違いについて国内外の学会で発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ひきこもり本人の電話とメール相談の内容についてキーワードの抽出を行い、予定通り分析を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
ひきこもりの電話相談による語りと、メール相談によるテキストをもとに、ライフストーリーの枠組みを用いて、本人がひきこもり体験をどのように語り、意味づけているのかを分析する。さらに、研究成果の発表として、海外の心理専門職の大学院の院生とシンポジウムを行う。
|