本研究では、ひきこもり相談から、現代のひきこもりの臨床像を明らかにし、ひきこもっている本人の視点から、アイデンティティの構築過程について検討することを目的とした。その結果、10代では性別にかかわらず、学校の中で体験していることが多く言及されていること、20代以降では性別によって悩みが分化していること、30代は内面と社会からの悩みが共存する可能性が高く、特に男性では40代以降においてもその傾向が継続することが示唆された。また、アイデンティティの構築過程においては、「ひきこもりの自分についての語り」「自分についての捉え直し」「自分と関わることについての語り」の3つの段階があることが示唆された。
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