研究課題/領域番号 |
26380921
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 亜矢子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (50271614)
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研究分担者 |
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スクールカウンセリング / 全校型支援 / コンサルテーション / スクールカウンセラー養成 / 学級風土 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
1)全校型モデルのワークブックの作成:平成25年度に韓国の研究者と行ったスクールカウンセラー(以下SC)実践に関わる調査の一部を28年度心理臨床学会およびエビデンスベースドスクールカウンセラー会議(米国)で発表した。ワークブックの一部(特に生態学的理論の部分)を試作し、SC向け研修会等で実用性を検討すると共に、国際学校心理学会で発表した。 2)普及版心理教育教材の作成:27年度実施の公立中学校での心理教育について、成果の予備的な聞き取りを行った。27年度に英文誌に採択されたニーズ調査に用いるマルチ質問紙について、新版の翻訳を行い、筑波大学飯田順子准教授を中心に、高等学校4校で実施した。29年度に国際学会にて発表予定。 3)普及版学級風土アセスメント・ツールの作成 平成25年度実施の7000名データに基づく新尺度とフィードバックコンサルテーション方法に改良を重ね、担任用ワークシートの更なる改善とともに、のべ約150学級で、それらの実践的な有用性を検討した。その結果を、共同研究者と国内学術誌に投稿し採択掲載された。また得られた学級経営支援の方策等について国際心理学会等で発表した。 4)トレーニング・プログラムの構築:SC対象研修会と、現役SCによる検討会、米国ニューヨーク工科大学と共催で東京にて行った日米初任SC・SC志望院生を対象とした10日間のプログラム等を通して、プログラムの構成要素や提示順序などについて、より詳細な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1に、普及版学級風土アセスメント・ツールの作成において、査読者とのやりとりに時間がかかり、新版学級風土質問紙の完成(公表決定)が遅れたことと、またその間の研究の進展から、分析システムの構築内容に新たな検討点が生じたことから、ツールの分析システム作成部分についてさらに時間をかける必要が生じた。 第2に、トレーニング・プログラムの構築とワークブック作成において、2016年8月に海外研究協力者であるCarol Dahir氏と米国現役スクールカウンセラー6名が来日して日米のスクールカウンセラーが参加しての共同セミナーを行い、10日間の研修プログラムの構築と試行ができた。その結果、計画が後ろ倒しになり、作成中のワークブックおよびプログラムに新たに加えたい内容も蓄積したため、さらに時間をかける必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
新版の学級風土アセスメント・ツールについては、論文の公表(日本教育心理学会「教育心理学研究」2017年3月号、平成29年4月公刊)が行え、必要な資料収集も行えたので、29年度調査に向けて迅速に分析システム等の構築を行う。 トレーニング・プログラム構築とワークブックの作成においては、平成29年3月のエビデンスベースドスクールカウンセラー会議などで養成プログラムについての資料収集を進めることもできたので、29年度をまとめの年として4年間の総まとめを行う。 心理教育についても、新版のニーズ調査質問紙の実施や活用方法の検討を継続し、上記まとめに位置付けて、成果を論文等にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1に、普及版学級風土アセスメント・ツールの作成において、新版学級風土質問紙の完成(公表決定)が遅れたことと、分析システムの構築内容に新たな検討点が生じたことから、ツールの分析システム作成に計上していた費用の執行が遅れた。第2に、作成中のワークブックおよびプログラムに新たに加えたい内容が生じて費用執行が遅れた。ワークブックに関連しては、資料収集代や翻訳謝金などが新たに必要と見込まれ、計画を整理して29年度にも継続して行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
第1に、普及版学級風土アセスメント・ツールの作成においては、フィードバック資料やワークシート部分も含めた分析コンサルテーション・システムの構築を行う。システム作成費や専門的知識の提供に費用が必要な見込み。第2に、ワークブックに関連しては、資料収集代や翻訳謝金などが新たに必要なので、予算を計画的に執行する。第3に、29年度を総まとめの年とし、研究成果の公表にも予算を用いる。
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