本研究は,日本全国の刑事施設に収容された性犯罪受刑者598名を出所後3-5年間追跡したデータを基に,性犯罪者処遇プログラム(以下プログラムという)の再犯抑止効果を,傾向スコアを用いて交絡因子の影響を除いたうえで,パラメトリックな生存分析により評価したものである。その結果,(1)再犯の経過は,痴漢で受刑した者(痴漢群)とそれ以外の者(非痴漢群)では異なっていること,(2)痴漢群では,プログラムは有意な再犯抑止効果を持たないこと,(3)非痴漢群では,プログラムの効果は出所後500日程度まで存在すること,(4)痴漢群では,非痴漢群より,プログラム受講の有無に関わらず再犯率が高いこと,が分かった。
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