研究課題/領域番号 |
26380932
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
伊藤 義徳 琉球大学, 教育学部, 准教授 (40367082)
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研究分担者 |
佐藤 徳 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (00422626)
杉浦 義典 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20377609)
湯川 進太郎 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (60323234)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Compassion / Self-compassion / Fear of Compassion / 自尊心 / 社交不安 |
研究実績の概要 |
本年度は,compassionの概念特性を明らかにする基礎的研究を6つ行った。 はじめに,compassionの獲得を妨げる特性として注目されるFear of Compassion(FoC)に注目し,これを測定する尺度の作成(研究1)と,本概念の妥当性を検討する実験研究(研究2)を行った。Gilbert et al.(2011)が作成したFear of Compassion Scaleを邦訳し,信頼性と妥当性を検討した。そして,FoCの中でも自身に対して思いやりを表現することを恐れるFoC for SelfとSelf-compassionの概念的特徴を明らかにするため,失敗場面において,自身を模したアバターに対する反応を比較する実験を行った。その結果,for Selfのみが自己への攻撃行動の増加に影響することが明らかとなった。 次に,Self-compassion(SC)が思春期青年の心情に及ぼす影響を検討する一環として,自尊心との関連を検討した。自尊心の低さをSCが補完することを示す研究はあるが(Leary et al.(2007),本研究では自尊心の不安定さに対する調整効果に着目し,顕在的自尊心と潜在的自尊心の不一致に及ぼすSCの影響を検討した。Go/No-GO Association Taskを用いて潜在的自尊心を測定し,自尊心の不安定さが不安に及ぼす影響をSCが調整することを示した(研究3)。さらに,3週間のSCトレーニングにより,自尊心の不安定が改善される傾向が示された(研究4)。 さらに,SCが社交不安傾向に及ぼす影響を検討した。SAD傾向とSC傾向には負の相関が示され(研究5),SAD傾向者のスピーチ状況に対する自己批判傾向を,SC教示が緩和することが実験により示された(研究6)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度はプログラム開発を行うが,その構成要素として検討しうる変数について基礎的研究を重ねることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,これまでの基礎研究の成果をふまえ,中学生を対象に,いじめ予防教育プログラムを策定し,その効果を検討する。さらに,中学生のいじめ予防に特化した指標の開発も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度購入予定だったSDカードが期日内に納入が難しくなり,次年度購入予定であったCD-R等を先に購入したため,差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度,計画通りSDカードを購入する。
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