多くの非行少年は生育環境上の負因を抱えている。非行少年に虐待被害者が多いことは先行研究でも指摘されてきた。しかし,これまでは虐待や家庭の問題に限定されてきたため,本研究では家庭での虐待,学校のいじめ,地域での犯罪被害について調査した。その結果,非行少年は一般青年と比較して,多くの被害経験を体験していたことがこれまでの調査と同様に明らかとなった。特に今回のデータ分析では,被害経験が初発非行年齢を早め,後の非行に影響していることを明らかにした。さらに,虐待経験時の怒りの感情の強さが初発非行年齢に影響していた。今後の矯正処遇では,被害経験による非行少年の怒りの感情について検討することが重要である。
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