研究課題/領域番号 |
26380937
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
小川 成 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90571688)
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研究分担者 |
近藤 真前 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30625223)
井野 敬子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (10727118)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パニック障害 / 認知行動療法 / 併存症 / 効果予測因子 |
研究実績の概要 |
パニック障害は患者の90%が1つ以上の精神疾患を併存している。認知行動療法は併存症の改善ももたらすことが複数の研究により示唆されているが、併存症の改善を予測する因子が判明すれば治療適応を判断する上でも有益と考えられる。本研究ではパニック障害に対する認知行動療法施行後の併存症の治療効果を予測する因子について検討することとした。 DSM-5のパニック障害と診断され、認知行動療法に適応があると判断されたすべての患者を対象として以下のような介入および評価を施行。 1. 介入 3人ずつのグループによる認知行動療法を施行。認知行動療法は、オーストラリアのNew South Wales大学の不安抑うつ研究所の治療プログラムを参考にしている。プログラムは次の5項目からなり、1回約2時間×7~8回となっている。①パニック障害に対する心理教育②呼吸コントロール③不安を惹起する認知を是正するための認知再構成④段階的実体験曝露⑤身体感覚曝露。 2.評価 診断を確定するために、Structured Clinical Interview for DSM-5という半構造化面接を施行。治療前には(i)パニック障害の重症度を測定するためPanic Disorder Severity Scale (PDSS)、(ii)人格特性を評価するためNEO Five-Factor Inventory(NEO-FFI)、(iii)認知的な側面を評価するためAgoraphobic Cognitions Questionnaire (ACQ)、(iv)身体感覚に対する過敏性を評価するためBody Sensations Questionnaire (BSQ)を施行した。また治療前後で(v) 併存する精神的症状を評価するためHopkins Symptom Checklist 90-Revised (SCL-90-R)を施行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
名市大精神科はパニック障害等の不安障害に対する認知行動療法のノウハウは確立しているほかスタッフの育成も継続している。また、介入についても臨床経験が2年以上のセラピストは中心となって施行しておりケースカンファレンスも定期的に施行し個別の事例の問題点につき検討を加えている。評価方法についても定期的に確認しデータの保管等も当初計画通りに施行している。さらに学会発表についても日本認知療法学会、アメリカ行動認知療法学会等にて行った。 しかしながら今年度はエントリー数が10例程度と減少しており、対策を立てる必要があると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
エントリー数を増やすために、関連病院や関連クリニックへの患者紹介等の協力要請を継続する。また、病院ホームページも更新し同門会報の原稿等も改訂する予定である。以上のような広報活動にも更に積極的に取り組んでいく。 セラピストの育成や学会参加もこれまで通り進めていく。 28年度は最終年度でもあり、論文化へ向けてデータ入力や整理についても引き続き進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費の支出が当初予算よりも少額にとどまったことや、学会旅費についても2名の出張が取りやめになったこと、研究分担者についても支出予定の出張旅費につき別途支給を受けたため未使用となったこと等が挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度は論文投稿を予定しており、英文校正料やジャーナルのチャージ料等のため、過年度以上に経費が必要と考えられる。 また、データ数の増大に伴い、データ入力等の人員確保のため人件費も必要となる。学会出席や学術雑誌の購読等のための経費も引き続き必要となる。さらにセッション施行時のフリップチャート、検査用紙のコピー用紙等の消耗品費も継続して必要である。
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