研究課題/領域番号 |
26380939
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
百々 尚美 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (70351707)
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研究分担者 |
橋本 竜作 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (00411372)
金澤 潤一郎 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (80632489)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社交不安障害 / 認知行動療法 / 自律神経系 |
研究実績の概要 |
MotionPortrait, Inc.(東京)と共同し,任意の写真(アバター)を使用して、顔の向き(8方向)と表情を変化させる(6刺激)プログラムを開発した。 それぞれの顔の刺激(驚き、幸せ、嫌悪、悲しみ、怒り、恐怖)について、表情の同定、および、主観的評価として、覚醒度と感情価を求めた。その結果、表情の同定において、嫌悪表情は、多くの場合、悲しみや怒り表情と混同される。恐怖表情は、驚きや嫌悪表情と混同されることが明らかとなった。その他の表情の識別は容易であった。正面の各表情における覚醒度と感情価の値を2次元平面に配置したところ、Russell & Bullockの円環モデル(1985)に近い分布となった。一方で、表情とアバターの顔の向きを組み合わせると,円環モデルの中で大きく位置を変える表情と,ある象限中で分布し変化しない表情とが存在した。これらの知見は、顔の向きが一定の表情の認識において重要な役割を果たすことを示唆していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
頑健かつ高い信頼性、妥当性をもつ仮想現実のシステムを構築することで、本研究の目的であるコンピューターをもちいた認知行動療法のプログラムを開発することが可能となる。 そのため、平成26年度の研究時間のほとんどを、不安を惹起することを目的とした仮想現実のシステムの信頼性、妥当性の検討に費やすこととなった。平成26年度の研究成果は公表ずみである。研究成果を踏まえ、平成27年度には当初計画していたように、大学生を協力者とし、社交不安状回傾向の程度が仮想現実システムによって惹起された不安にどのような影響をもたらすのかを検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
社交不安障害傾向のある大学生を協力者とし、平成26年度の研究において高い信頼性、妥当性を確かめた仮想現実のシステムの元で不安が惹起するか否か、質問紙を用いた主観的評価と生理反応を測定することによる客観的評価を検証する予定である。 具体的には、実験の目的に同意を得た大学生を協力者とし、社交不安障害の傾向の程度についてスクリーニング行い、社交不安障害の傾向の高群、低群に分ける。両群ともに、正視をし続ける動画もしくは視線をそらす動画(平成26年度の研究において高い信頼性、妥当性を確かめた仮想現実システム)を呈示することでいずれにおいて不安が惹起するかを検証するために、2 分間の動画提示中の心電図を測定し、自律神経機能を解析する。動画提示後に両群ともに感情評価へ回答してもらう。休憩後、最初に呈示した動画とは別の動画を呈示し同様に心電図を測定する。呈示後再び感情評価へ回答してもらう。なお、両群ともに、正視をし続ける動画と視線をそらす動画の順序効果を相殺するために、カウンターバランスを用いていずれかの動画から呈示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究では、当初、大学生を協力者とし、仮想現実のシステムの元で不安が惹起するか否か、質問紙を用いた主観的評価と生理反応を測定することによる客観的評価を検証することを目的としていた。しかしながら、仮想現実のシステムの信頼性、妥当性を確かめる必要が生じたため、平成26年度の研究のほとんどの時間を信頼性、妥当性の検討に費やすこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の研究計画に従い、次年度(平成27年度)では、実験の目的に同意を得た大学生を協力者とし、社交不安障害の傾向が、仮想現実のシステムのもとで惹起させる不安の程度へどのように影響をもたらすを検討する予定である。
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