研究課題
本研究では当初計画した新規プログラム開発の進捗状況が遅れたため、研究計画を変更し、死別前後のがん患者と介護者を対象とした縦断研究によって介入に必要な要因の予備的同定を行った。この縦断研究では、死別後の対処行動の変化と遺族の心理状態の関連を検討することで、悲嘆回復に寄与する対処行動を予備的に同定し、新規プログラムでの介入要素として使用することを目的とした。がん専門病院の緩和医療科の外来初診である進行・再発期のがん患者とその介護者を対象に初診時に面接とアンケート調査を実施した後、介護者を対象に死別6か月後と13か月後にアンケートの郵送調査を実施した。その結果、初診患者130名のうち参加者は31組であった。初診患者のうちの適格率は66%、適格者のうちの参加率は36%といずれも低く、終末期から死別後までのがん患者とその介護者のペアを対象とした縦断研究の実施上の課題が明らかになっ た。また本研究では、がんで配偶者を亡くした遺族19名の抑うつ状態(PHQ)、対処行動に関する予備的な結果を得られた。緩和ケア初診時(T1)、死別6か月後(T2)、死別13か月後(T3)で比較すると、抑うつ状態はT1が最も低く、T2が最も高かった。またT2の抑うつと気そらし対処行動の少なさが関連した。以上より、遺族の悲嘆回復のためのプログラムは、死別後半年から1年で開始し、気そらしを含めた対処行動の促進が望ましいことが明らかになり、遺族プログラムに有用な知見が得られた。
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