統合失調症患者と年齢をマッチングさせた健常者を対象に, 正方形と6種類の長方形を用いて、最もきれいと思われる任意の位置に垂直方向と水平方向にそれぞれ分割線を描くという図形分割課題における対称性選好について,比較検討した。その結果、統合失調症患者は健常者と比べて、対称性の選好が顕著であり、それは陽性症状、陰性症状および認知の障害などの統合失調症の症状を反映している可能性を示唆した。なお健常者の対称性選好については、怒りや緊張といった気分との関係が示唆された。 図形分割課題時の眼球運動については、対称性選好と眼球運動の低さとの関係が示唆されたが、この点については今後さらなる検討が必要である。
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