研究課題
学校不適応状態にある中学生男女に対し、治療目標、方法を検討した上で各1グループを立ち上げた。それらのグループプロセスを分析し、適切な技法を考案・導入し、反応の分析を繰り返すことで、関係性の深化過程を抽出し、概念化するとともに、技法の有効性を検討し、蓄積していった。治療プロセスについて、グループ形成の初期過程、心理的作業の展開過程、別離の過程をそれぞれ分析し、それらの意義を検討した。それにより、①それらのプロセスには、集団からの脱落を経験した子どもたちの愛着トラウマ、対人トラウマが反映されていること、②そのトラウマによって障害されている「言葉にしがたい」情緒が、活動のなかでの言語的、象徴的表現を通して表されるだけでなく、セラピストも含めたグループでの関係性のあり方によって表されること、③それらの表現や関係性のあり方の意味が相互に理解されることを通して個人が孤立感から解放されて関係性が深まり、治療的展開が得られる、ということが見出された。なお、④発達障害を抱える子どもであっても、活動を通した情緒表現は関係性の深化と自己理解に有益であった。また、⑤セラピストは子どものトラウマ体験に揺さぶられるが、その無力感を共有すること自体が治療的に大変有益であった。また、このような思春期グループの意義を児童期のグループと関連で吟味し、関係における出来事の体験的理解と活動や言語を通した表現が治療的・成長促進的な働きをするという共通性が見出された。それらを踏まえ、最終的に、グループプロセス、(導入される活動を含む)技法、関係性の深化過程、治療者の役割を総合した基礎技法の体系的モデルを提示した。なお、このグループにおいて中学校通級指導学級教師と共同しつつ技法研修を行ったほか、学級に出向いてグループ成果を共有し、事例検討指導を行った。またそれらを総合的に検討する国際研究集会を行い、成果の検討を行った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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