本研究では,東日本大震災に伴う原発事故によって福島県沿岸部から福島県内陸部に避難し,仮設住宅で生活する児童生徒の心理的ストレスについて検討した。質問紙調査の結果から,仮設住宅で生活する児童生徒はストレス反応の表出が高い者の割合が多く,友人や担任教師からのソーシャルサポート期待が低い傾向が示された。また,支援者へのインタビュー調査から,子どもは震災当初は落ち着きがなく,攻撃的,無気力的であり,仮設内の対人トラブルもみられたが,数年間かけて徐々に回復することが示された。一方,数年経ってから震災時の傷つきを語る子どもの存在もみられ,今後も中長期的研究を継続していく必要があると考えられる。
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