研究課題/領域番号 |
26380960
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
松永 美希 立教大学, 現代心理学部, 准教授 (60399160)
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研究分担者 |
三浦 正江 東京家政大学, 人文学部, 教授 (00330134)
中村 菜々子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80350437)
古谷 嘉一郎 北海学園大学, 経営学部, 講師 (80461309) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 健康心理学 / 教師 / ストレス / リアリティ・ショック / 心理学的介入 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
平成27年度は,以下の2点について,検討をおこなった。まず1点目は,平成26年度に着手した,新任教師のリアリティ・ショックへの対応に特化したメンタルヘルス研修プログラムのマニュアルの精緻化と効果検証について実施した(研究1)。研究1では,昨年度同様に,公立小・中学校の新任教師124名を対象に,メンタルヘルス研修を実施し,メンタルヘルス研修前(7月)・3か月後(10月)・6か月後(1月)に質問紙調査をおこなった。メンタルヘルス研修は,2015年7月に,昨年度同様に,講義とグループワークで構成され,約3時間(165分)であった。その結果,メンタルヘルス研修前後において,抑うつ対処の自己効力感(及川・坂本,2007)の「客観的・多面的評価」,「メリット・デメリット」の8項目について評価を求めたところ,8項目すべてについて研修後のほうが有意に得点が高かった。このことから,本プログラムにより認知的対処の自己効力感が高まる可能性が示された。またリアリティ・ショックについては,7月がもっとも高く,1月は7月,10月よりも有意に低くなっていた。また自動思考の「否定的思考」と特性被援助志向性の「肯定的態度」について,1月は10月よりも改善していたが,精神的健康と状態被援助志向性については3時点で有意な変化はなかった。 さらに今年度は,新任教師がリアリティ・ショックに直面した際,周囲はどのように援助しているのかについて,管理職を対象にした面接調査を実施し,質的に検討を行った(研究2)。公立小・中学校の校長5名に対して,面接調査を行った結果,管理職は「児童・生徒への対応や接し方」についてリアリティ・ショックを感じる新任教師が多いと感じており,その支援として,管理職自身が助言や相談にのるような直接的な支援と,新任教師を支える組織や体制づくりという間接的な支援を行っていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26~27年度に計画していた,介入プログラムのマニュアルの精緻化については,マニュアルの作成や,指導主事の評価の実施など,おおむね順調に進展している。 また平成27年度の計画であった,管理職を対象とした面接調査についても,対象者は計画よりも少なかったが,概ね予定通りに実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
新任教師を対象としたメンタルヘルス研修のプログラムのマニュアル化と効果検証について,現在は一市町村の教育委員会に依頼しているが,今後はその他の地域や市町村の教育委員会にも働きかけ,プログラムの評価を継続的に行っていく必要がある。また管理職等を対象にした面接調査についても,さらに人数を増やして,結果を一般化させていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2における管理職を対象とした面接調査に関して,調査協力者の人数が計画よりも少なかったこと,協力者が公立小・中学校校長(公務員)であったため謝金の授受を辞退されたこと,調査場所が協力者の職場(学校)であり会議室の借用が不要であったことなどによって,使用計画よりも使用額が少なかった。 また研究1のリアリティ・ショックへの対応に特化したメンタルヘルス研修プログラムのマニュアルの精緻化について,マニュアルをコピー印刷したため,印刷費を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
残額は,研究1のメンタルヘルス研修プログラムのマニュアルの印刷費に使用する。また研究2における面接調査の継続実施のため,調査旅費や逐語データの分析ソフトの購入などに使用する。また研究3の新任教師を対象にしたソーシャルキャピタルの量的調査実施にむけて,分担者との研究打ち合わせの旅費に使用する予定である。
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