研究実績の概要 |
H29年度は、これまでに集積したデータに基づき、家族構造のサブシステム(親自身の自己受容感や親による家族関係・園との関係性認知など)を加え、幼児期における子どもの全体的自己価値感(GlobalSelfWorth:以下GSWと表記)の発達プロセスについて検討した。 幼児期(4歳-6歳)の質問紙調査データに回答した双生児を持つ母親 107名(平均年齢39.20歳, SD=4.11)を対象とし、対象児が3歳時点での家庭観察の参加応諾が得られた39家庭、一卵性17組・二卵性22組(父子あり12組,平均月齢38.33,SD=3.73)を中心に検討した。 解析に用いた質問紙調査内容は、子どものGSW(Harter&Pike,1984)の日本語版(眞榮城,2011)・親版 計18項目・親のGSW(Harter&Kreinik,2012/自分に満足している他)・親の精神的健康(抑うつ感・子育てストレス)・親子サブシステム:Parental Bonding Instrument(Parker et al.,1979)・ アタッチメント尺度・社会的資源(子育てサポート利用状況・園との関係性)・社会経済的状況に関する項目(親の最終学歴・親の現在の職業・世帯収入・個人収入)であった。結果、一卵性双生児間のGSWの相関が二卵性双生児間の相関値よりも高かったことからGSWの発達について検討する際には遺伝的要素が無視できないことが確認された。また、一卵性双生児を対象とした親子相互作用分析から、子どものGSWの発達に肯定的な影響を及ぼす環境要因として、親が子どもの活動成果について具体的な肯定的フィードバックを与えることの重要性が確認されたものと考えられる。さらに、家庭内外のサブシステム(子育て相談サポート・夫婦関係認知)が親のGSWの発達に影響を及ぼしていることが示唆された。
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