研究実績の概要 |
本研究では、障害のある子どもとその保護者の支援に従事する教員やスタッフが子どもや保護者のメンタルヘルスを支えるスキルと知識を学習すること、及び参加者のメンタルヘルスの向上を目的としたプログラムの開発を行った。 プログラムは、約5時間の集団形式で行われ、参加者が体験を共有しながら、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の知識とスキルを学ぶものである。参加者の継続的な学びを促進するためホームページを開設し、研究資料を提供した(https://sites.google.com/site/hpactraining/)。 プログラムの有効性を検討するために、ウェイティングリスト(WL)デザインを用いた研究を実施した。35名の参加者が実験群(18名)とWL群(17名)に分けられ研究に参加した。参加者のACTに関する知識とスキルの習得を評価するために5つの尺度が実施された。ACTの知識とスキルを評価する「ACTに関する知識クイズ」、AAQ-II(心理的柔軟性を測定), CFQ(認知的なフュージョン), FFMQ(マインドフルネスのスキル)が用いられた。メンタルヘルスに関する変化をBDI-II(抑うつ), GHQ-28(一般的な健康状態)を用いて測定した。統計的な分析に必要な情報が得られた21名のデータを、共分散分析を用いて分析した結果、複数のマインドフルネススキル、認知的フュージョン、ACTに関する知識クイズで実験群に有意な得点の変化が見られた。BDI-IIの得点は実験群で有意に減少していることが示された。これらの結果から、本プログラムがACTの知識とスキルの習得、及び参加者のメンタルヘルスの向上に貢献することが示された(Tani, Kitamura, 2017)。 今後はホームページや研修会の開催を通して、このプログラムを普及させる研究を継続していく。
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