研究実績の概要 |
平成28年度は第1回調査のAttachment Doll Play(George & Solomon, 1990, 1996, 2000;以下ADPA )の査定結果と、絵画愛情関係テスト(Takahashi,2002;PART)、Kiddy-KINDL日本版(根本,2014)について分析を行った。また第2回調査を実施した。 研究協力児童17名のADPA査定からアタッチメントはBタイプ23.5%、Aタイプ29.4%、Cタイプ17.6%、Dタイプ29.4%と、桂田ら(2013)の施設入所児の結果と同様、Bタイプが少なく、Aタイプ・Dタイプが多かった。また、施設入所児童の対人関係の枠組みとQOLを調べるためにPARTとKiddy-KINDLを実施した。PARTは先行研究の分類と合致しなかったため、独自に5類型を設定したところ“Care Worker/先生型”と“不特定型”がともに26.1%、“一匹狼型”が21.7%と多く“家族型”は13.0%であった。A施設校区の小学校1年生と保育所(5歳児)の在宅児対照群と比較したところ、在宅児は“家族型”56.4%、“一匹狼型”7.7%と、両群の5類型の度数分布は有意に異なるものであった(χ2(4)=25.16, p<.001)。QOL得点は施設入所児よりも在宅児の方が高いことが示された(t(53)=2.62,p<.05) [ICP,2016 ]。更に、ADPAをA・B・Cの組織型とDの非組織型に分けてPARTとの連関をみたところ、5%水準で有意な連関が認められた(V=.812)。井上ら(2000)は“一匹狼型”が不適応的と指摘しているが、本研究ではDタイプに“一匹狼型”はおらず、施設入所児は対人関係に特定の人物がいない不特定型が多く、大人の出現率が少ないことからアタッチメント対象の希薄さが示唆された[日本発達心理学会,2017] 。
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