研究課題/領域番号 |
26380968
|
研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
谷向 みつえ 関西福祉科学大学, 心理科学部, 教授 (20352982)
|
研究分担者 |
赤澤 淳子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (90291880)
桂田 恵美子 関西学院大学, 文学部, 教授 (90291989)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 児童期のアタッチメント / 愛着表象 / Doll Play / 児童養護施設 / 縦断調査 |
研究実績の概要 |
平成30年度は児童養護施設入所児童のアタッチメント・スタイルの縦断的変化とその環境要因について聞き取り調査も踏まえて検討した。 (1)アタッチメント・スタイルの変化を独立変数として、児童の対人関係や環境要因について検討した結果、一次調査から二次調査へのアタッチメントの変化と関連のあった変数は「専門家による心理的ケア」のみで、その他の変数に関連はなかった。個別ケースの検討から、二次調査で新たに混乱型(D)と査定された児童は心理的ケアを受けておらず、聞き取り調査から特定の大人との関係が希薄な状態であることがわかった。一方、改善した児童の聞き取り調査から、モデルとなる愛着対象の存在が確認された。 (2)アタッチメント・スタイルの変化と、職員から聴取した施設入所前の乳幼児期の虐待やトラウマ性体験との関連を検討したところ統計的有意な関連はなかった。さらにトラウマ体験と、二次調査でのレジリエンス、QOL、情緒行動問題、トラウマ関連症状との関連を検討したところ、入所前にトラウマ体験のない児童の方が子ども同士の関係が良好であった。また、虐待を経験していない児童は学校生活のQOLが高く、レジリエンス気質も高かった。一方、身体的虐待があった児童はTSCC(トラウマ関連症状尺度)の不安が高く、ネグレクトのあった児童は不安とPTS(外傷後ストレス)得点が高くレジリエンス気質が低かった。 以上の結果から、Attachment Doll Play Assessmentで査定されたアタッチメント・スタイルは可変的で、心理的ケアを含む愛着対象の存在が改善に寄与することが示唆された。また、乳幼児期の虐待やトラウマ体験は直接的、持続的に児童期のアタッチメント・スタイルに影響を与えるわけではないが、トラウマ関連症状に関係し、虐待やトラウマ体験のない児童の方が学校生活のQOLや子ども同士の関係性が良好であった。
|