研究課題/領域番号 |
26380970
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
安達 圭一郎 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (90300491)
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研究分担者 |
上野 徳美 大分大学, 医学部, 教授 (50144788)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マンモグラフィ検診受診行動 / 中高年期女性 / 自己制御のコモンセンスモデル / 乳がんに対する病気認知尺度日本語版 |
研究実績の概要 |
①内容 従来からの我々の研究に引き続き(安達ら、2012;Adachi et al, 2013)、わが国中高年期女性のマンモグラフィ検診受診行動に及ぼす心理社会的要因をLeventhal et al(2003)の自己制御のコモンセンスモデル(Common-Sense Model of self regulation; CSM)に基づき詳細に吟味した。 今年度は、CSMにおける重要な要因である「病気認知」を測定するために、Broadbent et al(2006)のBrief Illness Perception Questionnaireの日本語乳がん用尺度(The Japanese version of the Brief Illness Perception Questionnaire for breast cancer; Brief IPQ-JBC)を作成し、その信頼性と妥当性を吟味した(Adachi et al, 2015)。また、作成したBrief IPQ-JBCを用い、中高年期女性の乳がんに対する認知のあり方が、その後のマンモグラフィ検診受診にどう影響するか、CSM理論を適応しながら検討した(安達ら、2015;安達ら、2015)。 その結果、①Brief IPQ-JBCは、乳がんに対する病気認知を測定する上で十分な信頼性、妥当性を有することが分かった、②CSM同様、乳がんに対する病気認知はマンモグラフィ検診受診行動に影響すること、が確認された。 ②意義、重要性 欧米諸外国に比し低迷するマンモグラフィ検診受診率の向上を目指したプログラム開発とその有効性検討をおこなう上で、必要な基礎的知見が得られたことの意義は大きい。今後は、乳がんに対する病気認知、マンモグラフィに関するイメージをもとに対象者を分類し、対象者の特性に応じた受診促進広告の作成とその有効性検討をおこなう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記したように、平成26年度~平成27年度の研究目的は「乳がんに対する病気認知」を測定する尺度の作成とその信頼性、妥当性検討であった。 その意味では、平成26年度のみで標準化された乳がん用病気認知尺度(BVrief IPQ-JBC)作成に成功すると同時に、乳がんに対する病気認知がその後のマンモグラフィ検診受診を予測することや乳がんあるいはマンモグラフィ検診に対する正確な知識の獲得が重要な媒介になることも明確にでき、予定を上回る進捗状況と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
日本全国に在住するマンモグラフィ受診経験がない中高年期女性を、作成したBrief IPR-JBCによる乳がんへの病気認知、さらにはマンモグラフィ検診へのイメージによっていくつかのサブグループに分類し、各グループの特性に応じたマンモグラフィ検診受診促進広告媒体を作成したい。また、その有効性についても実証的、かつ縦断的に明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の実施予定の調査(ネット調査会社委託費)は、平成23年度~25年度に採択された挑戦的萌芽研究(課題名:マンモグラフィ検診への受診行動を促進するプログラムの開発とその有効性研究、課題番号:23653216)の最終年に残額を利用して実施された。
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次年度使用額の使用計画 |
マンモグラフィ受診プログラムの作成とその有効性検討をおこなう上で、27年度以降に新たな縦断的ネット調査を予定しており、その委託費用に充当する。さらに、研究発表(国内外)、情報収集、研究打ち合わせなどに使用させていただく予定である。
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