研究課題/領域番号 |
26380976
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研究機関 | 九州ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
有村 達之 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 教授 (80264000)
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研究分担者 |
田代 雅文 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60264305)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / 慢性痛 / 認知行動療法 / マインドフルネス / 心理学的介入法 / マインドフルネストレーニング |
研究実績の概要 |
慢性疼痛とは損傷の治癒後や損傷の存在なしに持続する痛みで、しばしば難治化し患者のQOLを損なう。主に欧米での研究により慢性疼痛の経過には抑うつなどの否定的感情、破局化(「自分は 痛みに耐えられない。」などの痛みに対する否定的な認知)などの認知、過度の休息などの受身的 対処行動の影響が明らかになり、認知行動療法など心理学的介入法が試みられている。さらに最近、マインドフルネストレーニングの慢性疼痛への効果が注目されている。マインドフルネスとは痛みなどの不快感やストレスについて、客観的に「気付いており」、ストレスを受けいれているという心理状態である。マインドフルネスの状態にある人は疾患受容ができ、精神症状が少なくQOL が良い。そこでマインドフルネスを向上させるマインドフルネストレーニングが 欧米で開発され、慢性疼痛への効果が報告されている。 マインドフルネストレーニングを活用した治療プログラムとしてマインドフルネスストレス低減法 (Mindfulness-based Stress Reduction Program; MBSR) がある 。 MBSRは呼吸法、ボディスキャン、ヨーガなどの各種瞑想法から構成される8週間 プログラムで、セッション時間や自宅でのホームワーク実施時間が長く、患者に負担となる可能性がある。 そこで、申請者らは患者負担の少ないトレーニングを開発し、慢性疼痛に対する効果を本研究課題で検証中である。平成26年度は1クールの集団マインドフルネストレーニングを5名1グループの集団療法形式で2ヶ月間実施した。前年度までに実施していたトレーニングの結果を合わせた15名のデータを解析したところ、トレーニングの前後で、疼痛強度(NRS)、生活障害(BPI、PDAS)、破局化(PCS) が有意に改善していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対照群のない前後比較デザインでマインドフルネストレーニングの介入効果を検討するのが平成26年度の計画であった。計画通り主要エンドポイントである疼痛強度、生活障害での介入効果を検出することができたが、研究参加者のリクルートが予定より遅れているため、研究達成度は「やや遅れている」と評価した。当初予定の年間目標症例数は15例であったが、平成26年度の実績は5例と少ない。
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今後の研究の推進方策 |
ランダム化比較試験(RCT)に向けての準備を行う予定である。研究参加者について当初予定の年間目標症例数は15例であったが、平成26年度の実績は5例と少ない。そのため研究参加者リクルート体制を検討し、必要な研究参加者数確保を行う予定。
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