研究課題/領域番号 |
26380976
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研究機関 | 九州ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
有村 達之 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 教授 (80264000)
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研究分担者 |
田代 雅文 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60264305)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / マインドフルネス / 慢性痛 / 介入研究 / マインドフルネストレーニング |
研究実績の概要 |
本研究は慢性疼痛に対する患者負担の少ないマインドフルネストレーニングを開発し、その効果や作用機序を検証することが目的である。平成29年度は昨年度に引き続き、統制群をおかない介入研究での成果(参加者20名)の分析および発表とランダム化比較試験の準備を行った。介入前後の痛み強度、痛みによる生活障害、痛みの破局化、抑うつ、不安、QOLの改善度を解析した。解析の結果、2ヶ月間の介入で痛み強度(NRS、SF-MPQ合計点)、生活障害(BPI生活障害尺度、PDAS)、痛みの破局化(PCS)、抑うつ(HADS抑うつ尺度)、不安(HADS不安尺度)が改善していたことが確認された。QOL(SF12)についても解析し、全体的健康感(GH)、心の健康(MH)、精神的健康(サマリースコア)が有意に改善していた。SF12については項目数が少なく下位尺度の信頼性があまり高くないことが考えられ、より項目数が多くて信頼性の高いSF36を再び採用することを検討した。さらにマインドフルネスもFFMQのobserving, nonreact, nonjuddingの下位尺度が期待された方向に有意に変化しており、今回のマインドフルネストレーニングで参加者のマインドフルな態度が強まったことが示唆された。FFMQ総得点はトレーニング後に増加したが、その変化は有意ではなかった。おそらくサンプルサイズが少ないことに起因すると考えられた。FFMQawareness下位尺度は期待される方向と逆方向に有意に変化していた。これはトレーニングを行って、自分が気が散っているという自覚が増えたということを示している。しかし、それは訓練効果がなく、訓練の結果注意散漫になったというわけではなく、むしろ気が散っているということに対する自覚が増えたと解釈でき、訓練効果を否定する所見ではないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年の熊本地震被災により、全般的に研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
従来、本研究課題で介入群と統制群を設定したランダム化比較試験まで進む予定であったが、以下の理由で研究課題では統制群なしの介入研究の成果をまとめるにとどめるのが適切と考えられた。理由は1、研究の進捗が地震の影響などもあり遅れており、必要な症例数を研究終了時までに確保することが困難だと考えられること、2,ランダム化比較試験実施の方策を検討する中で、マンパワー不足を補うために中央割り付けなどのシステムを導入すると当初予想以上に予算が必要なことなどである。今後は今までの成果を公刊し、詳細なランダム化比較試験計画の立案、倫理委員会申請などを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
熊本地震被害等で計画の進行が遅れ、研究の完成年度を延長したため。
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