平成30年度は介入前後とフォローアップ時(平均追跡期間2ヶ月)のデータが得られた参加者についてデータ解析を行った(n=16)。介入前後の痛み強度、痛みによる生活障害、痛みの破局化、抑うつ、不安、QOLの改善度を解析した。解析の結果、2ヶ月間の介入で痛み強度(NRS)、生活障害(BPI生活障害尺度、 PDAS)、痛みの破局化(PCS)、抑うつ(HADS抑うつ尺度)の有意改善が確認された。これらの改善は介入終了後平均2ヶ月後のフォローアップ時にも維持されていた。また、QOL(SF12)については、心の健康(MH)が介入前後で有意に改善し、2ヶ月後のフォローアップでも改善が維持されていた。QOLの痛み(BP)については介入前後の変化は有意でなかったが、介入前とフォローアップ時では有意な改善が観察された。マインドフルネスについてはFFMQの nonjuddingが介入前後で期待される方向に変化し、フォローアップでも維持されていた。FFMQのDescribingは介入前後で変化していなかったが、介入後からフォロアップ時にかけて有意に改善していた。前年度に介入前後の改善度を解析したときに比較すると今年度は有意改善が観察された指標は少なかった。これは解析できた参加者数が前回解析の20名から16名と減少したことが原因と考えられた。痛みの質(SF-MPQ)やQOL(SF-12)、マインドフルネス(FFMQ)については、各心理指標の平均値は介入前後で期待された方向に変化しているので、結果として有意な結果が得られていないのは、サンプルサイズが不足していたのが原因と推測された。今後は十分なサンプルサイズの確保が課題となった。しかし、プライマリ-エンドポイントである痛みによる生活障害や痛み強度については介入効果のエビデンスが得られ、その効果はフォローアップ時にも維持されていることも明確になった。
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