研究課題/領域番号 |
26380977
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研究機関 | 鹿児島純心女子大学 |
研究代表者 |
餅原 尚子 鹿児島純心女子大学, 国際人間学部, 教授 (70352474)
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研究分担者 |
久留 一郎 鹿児島純心女子大学, 人間科学研究科, 教授 (40024004)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 性犯罪指定捜査員 / PTSD(心的外傷後ストレス障害) / CIS(惨事ストレス) / 惨事 / 感情労働 / PTG(外傷後成長) / 陪審員 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
平成26年度、平成27年度に引き続き、PTSD事例の継続ケース、新規ケースについて分析した。新規ケースでは、「隣人からの暴力被害」「身内、同級生からの性被害」「DV:Domestic Violence」「幼少期時のわいせつ被害」など8件であった。被害者が幼児から思春期の子どもである場合、両親(特に母親)のショックは大きくうつ的状態になりやすく、長引くこと、父親(男性)は怒りの感情が生じやすいということが見出された。 性犯罪指定捜査員に指定されている女性警察官87名を対象に、「惨事状況」「ストレス(PTSD:心的外傷後ストレス障害、CIS:惨事ストレス)」「感情労働」「PTG(外傷後成長)」に関するアンケート調査を実施した。その結果、「ひどい状態のご遺体を眼にした、あるいはかかわった」者(19名、21.8%)は、かかわってい者に比べ、感情労働尺度の合計点が有意に高いことが見いだされた(t=2.001、df=73、p<.05)。つまり、ひどい状態のご遺体を眼にしたにもかかわらず、自己の感情を抑制しつつ支援活動を行っていた。PTSDとPTGに有意差はみられなかった。 ポーランドで、アウシュビッツ・ビルケナウ強制絶滅収容所、Subenia Victima(ポーランド犯罪被害者支援協会)での学術交流を行った。さらにオーストリア・ウィーンのWEISSER RING 、ウィーン地方刑事裁判所の陪審制度における被害者支援ならびに陪審員のメンタルヘルス、ウィーン医科大学におけるトラウマの最新情報に関する学術交流、NEUSTARTにおける加害者支援についての情報収集、学術交流を行った。特に収容所経験をしたFrankl.V.E博物館を訪問し、収容所体験者のトラウマやその後の症状は、レジリエンスに結びつく「豊かな人間性」や幼少期の「愛着関係」と関連があることを見出すことができた。
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