研究課題/領域番号 |
26380982
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
上原 泉 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 准教授 (80373059)
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研究分担者 |
村上 郁也 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (60396166)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 実験系心理学 |
研究実績の概要 |
諸認知と視空間的な注意範囲の関係性を、発達的視点から、乳児、幼児、成人を対象に、記憶、言語、視認知、視知覚等、複数の視点からの認知課題により検討した。データ収集が終らず分析に至らなかった部分もあったが、一定の成果を得ることができた。以下で具体的に報告する。 27年度は、第一に、言語発達的変化が著しい乳児と1歳台の幼児を対象に、初期の言語発達との関連から視覚的な注意機能を調べるべく、単語音声自体、また、新奇単語と旧単語への視覚的注意の向け方の違いと時間経過の関係を月齢差も含めて、本実験により検討し、新旧単語への反応には月齢が低いと差はみられないが単語音声自体へは早期から一貫した注意反応がみられる可能性が示された。28年度の学会での公表に向けその成果をまとめた。第二に、幼児を対象に、視認知エラーや行動認知と言語発達の関係性を他の認知課題と比較のうえで調べるための準備を行い、本実験を開始するに至った。データ収集が十分ではないため、その続きと分析を28年度に行う予定である。第三に、これらと併行して、26年度に引き続き、成人と中高生も含めて、記憶課題を行い、注意の向け方やその後の記憶への残り方について検討し、その成果の一部を学会で発表するとともに、論文で公表するに至った。第四に、成人を対象とした実験では、視空間的注意の時間的変遷と特定対象への滞留について、複数の課題を実施することで、空間的な注意の分解能及び空間的分散・統合に関して一定の成果を得た。28年度は、これらの研究成果をまとめつつ追加検討を行い、最終成果として統括したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
0~1歳台を対象に言語音への注意のあり方に関するデータ収集と分析を終えた。28年度に追加でデータを補足し分析する可能性はあるが28年度に学会で成果を公表できる見込みである。2~3歳台を対象とした視認知エラー等についてはデータ収集中であるが28年度に分析結果をまとめられる見通しである。また、幼児での別課題のデータを論文で公表し、その比較のために実施してきた成人と中高生を対象とした、注意の向け方やその後の記憶への残り方に関する成果の一部を学会で公表し、これらについても28年度にまとめられる見込みである。研究分担者を中心に行ってきた、成人を対象とした視空間的な注意に関する課題については、データ収集がほぼ終わり、28年度の最終成果報告に向けデータの補足と分析、まとめを行える見込みである。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
必要とするデータ数は多くはないが、乳幼児のデータ収集には手間がかかる。複数の協力機関に連絡をとり機関を通じて募るとともに、個別の依頼方法も検討し、できるだけ多くの依頼方法で協力いただける参加者を募り、研究協力者の補助を得ながら早めにデータ収集を終える。分析とまとめの作業を効率的にすすめるため、研究協力者からの補助を得ながらすすめるが、遅れが出た場合は、遅れている度合いに応じて、研究協力者を増やす。
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