本研究課題では、高い集中を要求する課題に取り組む際の課題非関連な妨害情報の抑制メカニズムについて検討を行ったものである。特に、不安感などの感情処理の個人差が不要な情報の抑制プロセスに及ぼす影響について着目した。課題非関連な情報の感情価の程度により、高不安者は脅威情報の抑制が困難になることが示された。さらに、無表情であっても人の顔情報が付与された場合には、課題成績にネガティブな影響が見られ、その個人差特性と要因についても分析を行い知見を得た。これらの知見は、妨害性の高い環境における問題解決や社会不安等の症状背景の理解等に寄与しうる基礎的な研究の展開につながり得るものであると考えられる。
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