本研究ではオープンソースのアイトラッカーであるSimpleGazeTrackerを基に、装置の3Dデータを自由に入手可能な頭部装着型アイトラッカーを開発することを目標としていたが、実験室の移転、規模縮小といった外的な要因、およびソフトウェア開発に利用しているライブラリ群のバージョンアップへの対応等の開発リソースを圧迫する要因が重なったため、将来的な目標達成のための基礎を固めることを目標とした。その結果、測定装置の頭部固定ユニットに関しては、さまざまな照明環境に対応できる性能を持った照明ユニットの組み込みが不可欠であること、そしてそのような照明ユニットをどのような形で配布もしくは利用者側で調達可能とするかという課題が残された。ソフトウェア開発では、主要ライブラリおよび開発環境のバージョンアップへの対応に加え、デジタルIOユニットへの対応、利用可能なカメラユニットの追加、PsychToolboxのサポートの追加、キャリブレーションを容易にするための機能追加をおこなった。デジタルIOユニットの対応は将来的にPC用モニターを利用しないキャリブレーション等に利用するためである。利用可能なカメラユニットの追加はSimpleGazeTrackerがサポートする小型カメラユニットが将来販売を終了した場合に、代わりとなるカメラユニットの調達を容易とするためである。PsychToolboxのサポートはsgttoolboxというmatlab/octave用toolboxとして公開し、その性能を評価した学術論文をBehavior Research Methods誌において発表した。その他の成果はGazePaserおよびSimpleGazeTrackerのバージョンアップとして公開された。
|