エストロゲンは視床下部―下垂体―副腎軸(HPA軸)に影響を与え,また,HPA軸の過剰亢進が感情障害と関連すると考えられている。そこで本研究では,エストロゲンの慢性的な循環レベルの向上がもたらす情動関連行動亢進効果に,HPA軸の反応変化が関与するかの解明を試みた。結果として,副腎除去はエストラジオールによるメスマウスの情動行動調節には影響を与えず,またエストラジオース投与によって視床下部のストレス関連ホルモンのmRNA発現は変化しなかった。これらの結果は,この情動関連行動亢進効果にはHPA軸の関与が低いことを示唆しており,他の可能性の検討が必要となる。
|