研究課題
日常生活において、私たちは事物や出来事の特徴を表現したり、比較したりする際、時間や量に関する情報を(おそらく無意識的に)内的な表象と照らし合わせることで「いつ」「どのくらい」と見積もり、それを空間における動作のタイミングや、力発揮の制御に利用していると考えられる。研究代表者はヒトにおけるこれらの知覚運動情報変換に関わる情報処理の機能的特徴を理解するための研究を行っている。本研究が取り扱う内容(例えば知覚-運動系情報処理における時間情報と空間情報の結合)は、物理学や哲学などにおいても重要かつ中心的なテーマである時間と空間の問題を考える上での話題をも提供すると思われ、本研究が他分野に与えるインパクトの点からみても独創的かつ重要である。平成26年度は、当該研究における刺激と反応の適合性・不適合性(compatibility/incompatibility)に着目し、関連する学術論文の調査・収集を行った。また実験的研究を行うための準備として、実験装置、実験プログラムの作成を行った。実験参加者データーベースの作成も行い、実験参加者の身体に直接触れる機器については、その仕様および安全性の確認を行った。平成27年度は、これらの準備をもとに実験を実施し、時間(「いつ」)や量(「どのくらい」)に関する情報が、運動反応の準備情報処理過程において、どのように空間的位置(「どこ」)に関する情報と結びつくのか、その機能的な特徴を明らかにする。
3: やや遅れている
平成26年度は計画1(知覚運動情報変換における「量-空間結合」の検討)を推進する予定であったが、学生教育および学内業務多忙のため、その進行がやや遅れている。しかしながら実験を実施するために必要な環境を整えることは出来たと思われる。
現在までの達成度にやや遅れがみられるために、平成27年度は、計画1(知覚運動情報変換における「量-空間結合」の検討)および計画2(知覚運動情報変換における「時間-空間結合」の検討)を同時に進める予定である。今後の研究を推進するための対策としては、学生教育および学内業務にかかる仕事の削減・効率化が挙げられる。
平成26年度は計画していた実験を行わず、それに関わる謝金を支払う必要が生じなかったため。
平成26年度の未使用金は平成27年度に使用(謝金支払)する予定である。
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