研究課題
日常生活において、私たちは事物や出来事の特徴を表現したり、比較したりする際、時間や量に関する情報を(おそらく無意識的に)内的な表象と照らし合わせることで「いつ」「どのくらい」と見積もり、それを空間における動作のタイミングや、力発揮の制御に利用していると考えられる。研究代表者はヒトにおけるこれらの知覚運動情報変換に関わる情報処理の機能的特徴を理解するための研究を行っている。本研究が取り扱う内容(例えば知覚-運動系情報処理における時間情報と空間情報の結合)は、物理学や哲学などにおいても重要かつ中心的なテーマである時間と空間の問題を考える上での話題をも提供すると思われ、本研究は他分野に与えるインパクトの点からみても独創的かつ重要である。平成27年度は、当該研究における刺激と反応の適合性・不適合性(compatibility/incompatibility)に着目し、関連する学術論文の調査・収集を行った。また実験研究を行い、時間(「いつ」)や量(「どのくらい」)に関する情報が、運動反応の準備情報処理において、どのように空間的位置(「どこ」)に関する情報と結びつくのか、その機能的な特徴を明らかにするためのデーターを収集した。平成28年度は引き続き研究を継続し、ヒトの知覚運動情報変換に関わる情報処理の機能的特徴を解明していく予定である。
3: やや遅れている
平成27年度は計画1(知覚運動情報変換における「量-空間結合」の検討)と計画2(知覚運動情報変換における「時間-空間結合」の検討)を推進するための実験を行った。しかしながら学生教育および学内業務多忙のため、その進行がやや遅れている。
平成28年度は引き続き計画1(知覚運動情報変換における「量-空間結合」の検討)および計画2(知覚運動情報変換における「時間-空間結合」の検討)に関する実験を継続し、さらなるデーター収集に努める予定である。またこれと並行して計画3(知覚運動情報変換における「量-空間結合」と「時間-空間結合」の相互作用の検討)を推進できるよう鋭意努力する予定である。今後の研究を推進するための対策としては、学生教育および学内業務にかかる仕事の削減・効率化が挙げられる。
旅費、謝金に関する支出がなかったため。
次年度に学術会議や研究ミーティングに参加し、そのための旅費を支払う。また実験を継続し、参加者に謝金を支払う。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件)
人間工学
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映像情報メディア学会技術報告
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