研究課題
日常生活において、私たちは事物や出来事の特徴を表現したり、比較したりする際、時間や量に関する情報を(おそらく無意識的に)内的な表象と照らし合わせることで「いつ」「どのくらい」と見積もり、それを空間における動作のタイミングや、力発揮の制御に利用していると考えられる。研究代表者はヒトにおけるこれらの知覚運動情報変換に関わる情報処理の機能的特徴を理解するための研究を行っている。本研究が取り扱う内容(例えば知覚-運動系情報処理における時間情報と空間情報の結合)は、物理学や哲学などにおいても重要かつ中心的なテーマである時間と空間の問題を考える上での話題をも提供すると思われ、本研究は他分野に与えるインパクトの点からみても独創的である。平成28年度は、昨年度に引き続き、当該研究における刺激と反応の適合性・不適合性(compatibility/incompatibility)に着目し、関連する学術論文の調査・収集を行った。また実験研究を行い、時間(「いつ」)や量(「どのくらい」)に関する情報が、運動反応の準備情報処理において、どのように空間的位置(「どこ」)に関する情報と結びつくのか、その機能的な特徴を明らかにするためのデーターを収集した。特にここでは、量と時間に関する情報を同時呈示し、空間情報との結びつきを検討した。例えば時間(遅早)に注意を向けさせる課題において、量(大小)に関する情報処理が影響するのであれば、メンタルタイムラインおよびメンタルナンバーラインの方向性(左→右)に基づき、完全一致条件(早くて小さい、遅くて大きい)のパフォーマンスは高く、完全不一致条件(遅くて小さい、早くて大きい)のパフォーマンスは低くなるという結果が予想された。この予想に基づき、量情報と時間情報とが互いに促進あるいは抑制しながら空間情報と結合するのか否かを検討した。これらについて国際共同研究を推進した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Psychological Research
巻: - ページ: -
10.1007/s00426-016-0779-9