研究課題/領域番号 |
26380997
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
八木 昭宏 関西学院大学, 応用心理科学研究センター, 客員研究員 (50166477)
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研究分担者 |
浮田 潤 関西学院大学, 文学部, 教授 (30299044)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心理生理計測 / 脳波 / 事象関連電位 / 多人数 / 視覚 / 聴覚 |
研究実績の概要 |
多人数の脳波を同時計測し加算平均するプログラムを作成し、新たに被験者間で、リアルタイムで解析するシステムを開発することが,研究全体の目的である。平成26年度には、多人数の脳波を同時計測し、加算平均するためのプログラムを作成し、新たな解析システムを開発することであった。 通常、脳波計測実験では、シールドルームを使用するが、本学の大型シールドルームでも30人は入りきれない。しかし会議室や教室など、実験場所の検討を行い、学内で独立した建物で他のノイズ源のない正方形の部屋が確保できた。視覚刺激としては、図形、画像、文字などはスクリーンに提示し、音刺激は新たに開発するスピーカーから提示する。このシステムは、既存のプロジェクターで、実現出来ることを確認した。実験用ピップ音や、音楽など音刺激の場合は、スピーカーからの距離に応じて、音の大きさや位相がずれる事がある。そのため今回の実験では、被験者が(360度)方向スピーカーを中心にして、円形に座って計測する方法の検討をおこなった。全方向スピーカーの検討を行い購入申請中である。また、多人数の頭部の電極を簡易に装着するため、電極の改良と装着法の検討をおこなった。従来の電極とアクティブ電極の比較を行ったが、アクティブ電極仕様の際には、アンプの電極ボックスが不足するため、従来型の電極で計測出来る技術を検討し、計測可能な結果を得た。 その他、2014年9月に広島で、International Congress of Psychophysiologyが開催されたが、シンポジウムの企画と司会をして、新しい心理生理学の方法論と応用に関して紹介を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究テーマは、新しい心理生理計測法の開発と、その方法による新たな研究成果の習得である。計画通り、脳波解析ソフトの作成はほぼ完了した。30人の脳波同時計測は、世界でも例のない研究である。大型の実験室の選定とノイズ対策が、もう一つの重要な問題で、現在、実験場面の設定に時間がかかっている。1月に入り、実験室設定に障害がでて、予定していた予備実験が遅れている。しかし、次年度には予備実験と本実験を開始できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実験システムは、解析ソフトの開発を含め、ほぼ完成したので、今後は、予備実験と本実験を行い、多人数同時計測の問題点を検討する。先ず、音響刺激と画像刺激を決定する。音刺激は、1.ピップ音、2.周波数がわずか変化するピップ音の系列、3.変化音に対して反応を求める系列、4.2秒程度の連続音、5.ノイズ音、6.楽音を提示するシステムを作成する。また、視覚刺激としては、1.単純な光刺激、2.カラー刺激、3.変化するカラー刺激、4.幾何学刺激、5.動画刺激などを提示するシステムを作成する。それらの条件下で、被験者として、男女それぞれ15名、計30名の学生を対象に、脳電位の計測を行う。その後、データの解析を行い、実験の問題点を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
多人数の被験者を対象とした実験で使用する広い実験室選定に時間が取られた事と、年度末に、急に発症した研究代表者の身体的障害により、動作が不自由になったため、予備実験が出来なかった。そのため、大型実験室で使用予定の音響刺激装置の購入が出来なかった。また、年度初めに予定していた学会参加ができなかったため、旅費等を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度は、全方向への音響刺激提示装置の購入と、海外の国際学会での成果の一部の発表を予定しており旅費として使用する予定である。実験の際、大勢の被験者に一度に電極を装着するため、実験補助員が大勢必要である。また、成果報告のため海外の学術誌での掲載料に充てる。
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