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2015 年度 実施状況報告書

直感的・潜在的な選好判断に関わる脳内情報処理メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26380999
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

武田 裕司  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 自動車ヒューマンファクター研究センター, 研究チーム長 (10357410)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード脳波 / 位相同期 / 選好
研究実績の概要

本研究の目的は、脳波の低ガンマ帯域におけるチャンネル間位相同期性が直感的な選好の情報処理を反映している可能性について検討することであった。平成26年度(計画1年目)に実施した研究では、無意味図形に対する直感的な選好判断において、「嫌い」と答えた無意味図形と比べて、「好き」と答えた無意味図形を観察している時に低ガンマ帯域の位相同期性が減少するという現象を発見した。そこで平成27年度(計画2年目)は、無意味図形を用いて繰り返し提示による選好の変化と脳波のチャンネル間位相同期性の関係に着目して実験的検討を行った。
実験では各ブロックで24種類の無意味図形(うち12種類の無意味図形はブロック間で繰り返し)を提示し、刺激のオンセットから700 ms以内に「好き」または「嫌い」を直感的に判断することを求めた。各実験参加者に30ブロック実施した結果、新奇な無意味図形と比べて繰り返し提示された無意味図形に対して「好き」と答える頻度が増加した(単純接触効果)。また、課題遂行中のチャンネル間位相同期値を算出した結果、新奇な無意味図形では「嫌い」と答えた無意味図形と比べて「好き」と答えた無意味図形を観察している時に40-50 Hz帯域の位相同期性が減少するという結果が得られた。この結果は、平成26年度の実験で観察された周波数帯域(30 Hz近傍)よりも高かったものの、概ねこれまでの結果を再現している。一方、繰り返し提示された無意味図形では、新奇な無意味図形とは逆に、「嫌い」と答えた無意味図形と比べて「好き」と答えた無意味図形を観察している時に40-50 Hz帯域の位相同期性が増大するという結果が得られた。これらの結果は、タイムプレッシャが与えられている場合に生じる直感的選好のバイアスと、繰り返し提示によって生じる選好のバイアス(単純接触効果)とが異なるプロセスで生起していることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度は無意味図形を用いて実験的研究を行い、平成26年度の結果の再現性を確認するとともに、繰り返し提示によって生じる選好のバイアス(単純接触効果)と脳波のチャンネル間位相同期性との関係を検討した。その結果、位相同期性の観点からみると、タイムプレッシャが与えられている場合に生じる直感的選好のバイアスと繰り返し提示によって生じる選好のバイアス(単純接触効果)とが、正反対の脳内の状態によって引き起こされているという興味深い発見があった。予想外の結果ではあったが、チャンネル間位相同期性と直感的な選好の関係性の解明に向けて、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成28年度は、平成26年度および27年度で得られた成果に基づいて、チャンネル間位相同期性と直感的な選好の関係性をより明確にするための実験的研究を行う。特に、写真画像と無意味図形でチャンネル間位相同期性と直感的な選好の関係性が逆転していた点、新奇な無意味図形と反復提示された無意味図形でもこの関係性が逆転していた点に着目して、脳領域間の情報伝達状態が選好にどのような影響を与えるのかをより明らかにする目的の実験を実施する。

次年度使用額が生じた理由

繰り返し提示による選好のバイアスが頑健に観察される実験パラメータを探索するため予備実験に手間取ったため、予算的には予定よりも実験1回分を積み残した。

次年度使用額の使用計画

平成28年度において実験を多く実施するために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 感情喚起刺激に対する脳波位相同期の性差2015

    • 著者名/発表者名
      武田裕司・加戸瞭介
    • 学会等名
      第33回日本生理心理学会大会
    • 発表場所
      グランフロント大阪(大阪市)
    • 年月日
      2015-05-24

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公開日: 2017-01-06  

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