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2014 年度 実施状況報告書

高齢者におけるTOT現象の発現機序について

研究課題

研究課題/領域番号 26381001
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

伊集院 睦雄  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00250192)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード喉まで出かかっている現象 / シミュレーション / 認知症
研究実績の概要

本研究では,「喉まで出かかっている」(TOT:tip-of-the-tongue state)状態が高齢者で生じやすくなるメカニズムに関し,健常成人や病的な喚語困難を呈する症例を対象とする実験的アプローチにより高齢期TOT現象の発現機序と病的な喚語困難との関係を検討する.また,コネクショニスト・モデルを用いたモデル論的アプローチによって,実験的アプローチにより得られた行動データを再現できるか確認する.
初年度はまず,モデル論的アプローチで用いるシミュレータの開発に注力し,意味システムと音韻システムにおいて局所的に表現された各レベルの表象が双方向的に計算される過程により,呼称や復唱といった語彙処理が可能となるモデルの構築を行った.しかし,シミュレータの開発や学習させる語の選択やデータセットの作成に予定以上の時間がかかり,モデルが呼称や復唱ができるよう単語を学習させるフェーズまで進むことができなかった.
一方,実験的アプローチでは,意味性認知症例2例からデータを得る機会に恵まれた.このため,健常成人を対象とした実験に先行して,2症例に関する基礎的な認知機能と言語能力を測定する諸検査,および絵の命名課題を実施し,基礎的なデータを得ることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

モデル論的アプローチにおけるモデル構築が予定通りに進まなかったことが,研究の遅れた主な理由である.また症例データの収集を優先させたため,健常成人の実験を年度内に終えることができなかった.

今後の研究の推進方策

モデル論的アプローチに関してはモデル作りに注力し,普通名詞についての正しい意味表象から正しい音韻表象を計算するネットワークを早急に構築する.ネットワークは,意味システムと音韻システムの間に中間層を挟んだコネクショニスト・モデルから成る.そして,数百から数千の単語を喚語することを学習させることで健常モデルを構築する.次に加齢による活性化情報の伝達障害をweight decay値の増大によって近似し,一旦学習が終了したネットワークにおいて,中間層と音韻システムにおけるユニット間の結合強度に関するweight decay値を増大させることで,喚語機能の低下が生じるか否かを検討する.
実験的アプローチに関しては,健常成人および病的な喚語困難を呈する失名辞失語例とアルツハイマー型認知症例におけるTOTの行動データの収集に注力する.

次年度使用額が生じた理由

語彙処理モデルのプログラミング,および単語の選択や学習セットの作成が遅れ,学習フェーズまで進まなかったため,実際にモデルが単語学習を行う際に必要となる高速なワークステーションの購入を見送ったことが原因である.

次年度使用額の使用計画

昨年度に導入を見送ったワークステーションを購入する.

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公開日: 2016-05-27  

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