研究課題
基盤研究(C)
第一に、中等程度の検定試験の主たる受験者である勤労青少年の意識の変化に注目し、そうした者を対象に出版されていた最大の修養雑誌『成功』について資料収集・記事分析を行った。同時に、同書は国内の図書館に散在しており、学術的価値の高さにもかかわらず復刻が行われていなかったため、不二出版とともに復刻事業を行った。第二に、中等程度の検定試験受験者が目指す主たる進路は高等教育への進学であることに鑑み、中京圏に注目して予備校の成立・展開の様子に関する資料収集・分析を行った。
教育学、日本史
修養雑誌『成功』に関する研究は、復刻事業の最終巻に解題として掲載した。同書の復刻は、日本史・教育史・文化史などさまざまな分野の研究者から待ち望まれていたものであり、今後、多くの研究者に便宜を図る結果となったことは疑いない。予備校に関する研究は、教育史においてほぼ手つかずとなっている学校外の教育のありように関する歴史的研究であるとともに、入試改革について議論する際の重要な手がかりとなる領域である。多方面の研究者に資料として活用されることを期待したい。