研究課題/領域番号 |
26381005
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
土屋 直人 岩手大学, 教育学部, 准教授 (10318751)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 作文教育 / 生活綴方 / 東日本大震災 / 教育実践 / 北方性教育 / 原発事故 |
研究実績の概要 |
研究初年度である本年度は、基礎的事実の収集・確認、教育研究集会への参加による情報収集や聞き取り調査等を中心に作業を行ってきた。 第一に、文献講読等の基礎的研究として、基礎資料として本研究課題に関係する、これまで公刊されてきた図書(東日本大震災とその後に関する記録(著書)や、教育関係雑誌の論文等の諸資料を収集・講読し、被災地の地域実態や、現段階での教育実践研究の動向と到達点等を確認した。 第二に、研究集会等への参加、実践の実態把握、実践報告資料等の収集を進めるべく、教師たちが集う研究集会に参加し情報収集を行った。例えば「東北民教研」蔵王集会(8月9~11日)や、日本作文の会全国大会(8月1~3日、於:北海道大)、「東北作文の会」集会(11月22~23日)等々である。それら複数の教育研究集会に出席・参加し、実践報告と討論を聴き討議に参加し、生活綴方実践の動向や課題・論点の動向、実態把握に関する情報収集を行い、東北沿岸被災地および東北各地域での現場教師の教育実践の営みの一端を学んだ。とりわけ、日本作文の会全国大会や東北作文の会では福島のある生活綴方教師の実践報告を丁寧に聴く機会を複数得た。また東北の地で開かれた日本臨床教育学会第4回全国研究大会(9月27~28日、於:仙台)では、沿岸・亘理地域の巡検に参加し、また宮城・東松島の中学校教師らの実践報告を聞く機会を得、さらに自身も自由研究発表を行い複数の貴重な教示を得ることができた。 第三に、現地(東北3県の各地・学校)に赴いての実践者への聞き取り調査と第一次資料収集を行った。例えば、青森県や、岩手県(沿岸・宮古市)の教育実践者数名に現場の子ども・学校の実態等についての聞き取り等を行い、また、福島県のある小学校の学校全体学習発表会の参観に赴き(11月8日)、また放課後に同校6学年の担当教師に近時実践の動向と課題を直接伺う機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず震災後の教育実践の動向等に関する基礎文献の収集・講読を順調に進めることができた。また、現場教師の集う教育研究集会にほぼ予定通り参加することができ情報収集や新たな知見を得ることが進展できた。また、岩手沿岸や宮城沿岸、福島沿岸の現場に赴き、実際に現場教師から学校と地域の実態等についての話を聴くことができた。特に福島(浜通り)のある小学校教師の有意義な教育実践に実際に触れ重要な地域の実態を学ぶことができ、当初の目的をほぼ順調に達成したと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き教育研究集会に参加し現場教師の声を聴き震災後の教育実践の実際と課題を理解・把握しあわせて第一次資料(教育実践記録等)の収集を行う。そしてまた、継続的に、現地(東北沿岸被災地・学校等)に赴き聞き取り調査と第一次資料収集等を中心に作業を行っていく予定である。特に福島のある小学校教師の教育実践の実際とその意義等については、今後とも学びながら考察を続けていき、震災後の生活綴方実践の実際と意義を考察し確かめたい。そして、それらの実態把握と考察の成果の一端を論文等のかたちで公表することを計画している。
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