本研究では「真正の学び」論を向上させるために教育における真正性について考察した。結果は次の通りである。第一に、教育における真正性には、子供の自己の内面の真正性と、現実の社会に対応する学校の真正性という二つの解釈が存在する。第二に、社会的構成主義は、「真正の学び」でこの二項対立を克服できると主張する。しかし第三に、思想史が示しているのは、「真正の学び」は既存の社会や学業成績向上のための合理的手段として使用される可能性が高いということである。第四に、デューイの科学的・美的「探求」では、真正性ではなく、「主題」の展開に対する「誠実さ」が要求される。これは教育における真正性を再構成する観点となり得る。
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