本研究は、日本の教員養成における「開放制」原則を前提としつつ、そこで行われてきている教師教育の実践的プログラムの運営について、(1)各大学における質的改善の取り組み(実習校の開拓、実習生の絞り込み等)、(2)大都市圏における地方教育行政の取り組み(実習校の割り振り等)を調査するとともに、(3)それらを通じての教師教育を受ける者にとっての効果の検証を行い、今後の教師教育実践の研究や政策的検討に資することを企図した研究を展開してきた。 今年度は、前年度までの調査を踏まえ、主に以下の二点から研究を進め、学会での成果発表(2018年3月17日、香港比較教育学会大会、香港教育大学)を行った。 第一に、日本の大都市圏に於ける地方教育行政と当該地域の大学間連合との連携による教育実習改善の取り組みに関わって、京都地区教育実習連絡協議会(京教協)の設立や運営、実際に開発されている教育実習の共通評価票等に関しての資料収集を行った。 第二に、国内外の大都市に於ける教育実習の割り振りや、運営指導体制、およびそれらと実習生の意識の関係を検討すべく、東京(2017年7月・東京学芸大学)、ソウル(2017年5月・ソウル教育大学校)、上海(2017年6月、上海師範大学)、香港(2017年11月、香港教育大学)の四都市において、小学校における教育実習を経験した最終学年の学生を対象とした意識調査を実施し、これらを基に資料集を編集した。 それらから明らかになったこととしては、特に東京において、実習校の小規模化が進み、実習生が孤独に置かれてプレッシャーを感じる度合いが高いことが挙げられる。
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