研究課題/領域番号 |
26381016
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50221958)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 幼児教育 / 家族 / 母 / ドイツ / ヴァイマル期 / 社会史 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究は、ヴァイマル期を中心として10世紀前半のドイツにおいて幼児教育と家族の関係がどのように議論されたのか、当時の雑誌や議会の議事録等の歴史的資料から明らかにすることを目的としている。 2017年度は、比較家族史学会第61回大会(2017年6月17日 於早稲田大学)で「20世紀初頭のドイツにおける母の日と教育」と題する報告を行った。本報告では、当時のドイツの教員向け雑誌(女性教員組合、幼稚園教員向け雑誌)を中心に母の日がどのように語られたのか、そこで議論された言説を取り上げて、母の日を通して、教育における母の位置付けを探る研究を行った。本報告を論文にまとめ、2018年には刊行される予定である。 さらに、幼児教育については、9月に発表した「幼児教育の歴史と現在」(『LISN』No.173, pp.1-5)においては、幼児教育の流れとその意義を確認する小論を、また、家族研究として「<教育と家族>研究の展開 -近代的子ども観・近代家族・近代教育の再考を軸として」(藤崎宏子・池岡義孝編著『現代日本の家族社会学を問う 多様化の中の対話』ミネルヴァ書房、pp.33-56、総ページ数290)を刊行した。これらは本研究を進める上での、幼児教育及び家族論の理論研究に位置づく研究である。 また、2017年8月に予定していた資料調査のための渡航ができなかったため、2018年にはベルリンの教育史図書館とペスタロッチ・フレーベルハウスのアーカイブで資料調査を行う計画で、引き続きその資料調査の分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年は、本研究の核とも言える研究成果を比較家族史学会において学会報告を行うことができた。また、幼児教育に関する小論を雑誌に一本掲載し、さらに家族史研究に関する理論史とも言える論文を学術書に一本掲載することができた。特に、学会報告は教育と家族の関係を問う上で、重要な成果であると言える。 しかし、2017年7月と2018年3月に続けて身内に2件の不幸があり、予定していた調査・分析をスケジュール通りに進行することが困難となった。特に、2017年夏に渡独を予定していたにもかかわらず、その計画を遂行できなかったことは研究成果をまとめる上で、困難を生じさせることになった。そのため、科研の延長申請をして受理され、現在一年の延長を行なって研究を進めているところである。 しかし、現在では、研究環境も回復し、順調に研究を進めることが可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2018年には、比較家族史学会で行った報告の論文化及びその刊行を行う。また、9月には、ヨーロッパ幼児教育学会に参加し、ヨーロッパの幼児教育研究者との交流を進め、本研究を広く発信していくことを計画している。また、2017年に渡独できなかった資料調査を2018年に行うことで、本研究の完成を目指すことが可能となっている。 本年度が本研究の全体のまとめに当たり、幼児教育について「母なるもの」の視点から分析することで、現在の幼児教育が抱える問題に、家庭教育及びジェンダーの視点から迫る歴史分析をまとめて公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年は最終研究年度であったが、この年の7月に実父が死去し、夏に予定していた最終資料調査のためにベルリンの図書館及び、アーカイブに行くことができなくなった。そのため、調査・分析をスケジュール通りに進行することが困難となり、研究の延長申請を行った。次年度使用額は、渡独のために準備していた旅費に該当する。 上記の理由で、本科研の延長申請を行ったところ、受理され、現在一年の延長を行なって研究を進めているところである。予定していた最終資料調査については、2018年度9月にベルリンに行き、行う予定としている。
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