研究課題
多様な価値観を前提にした原子力・放射線教育の開発をめざして、研究グループとしては、最終年度には、6回の研究会を開催した。5月には福島における小中学校教師による放射線教育の試みの報告と検討、7月には関東地域の学校のゴミ学習と授業における中立性に関する報告と検討、10月には中学・高校における原発と放射線の教育実践の報告と検討、12月には事故から5年となる福島の小学校での実践と報告を中心とした検討、明けた平成29年1月には高校の実践報告と検討、3月にはこれまでの研究を総括する研究会を開催した。この研究会は、3年間に14回開催し、福島における原子力教育・放射線教育の状況、それ以外の各地の教育の試みを集め、小中高校の教師たちに報告していただきながら、他方で関連する研究者にも原子力や放射線に関する知見を提供していただいてきた。その際、異なる見方を明示しながら、どんなデータや研究を基礎としているかに注意を払いながら研究を進めた。また、チェルノブイリ事故に対応して放射線教育と子どもへの保養を行っているベラルーシを訪問し、当地の幼稚園・小中学校を訪ね説明を受け、ベラルーシの教科書や教育、保養の取り組みの実際を見学した。また、ベルルーシの放射線の影響とみられる子どもたちへの支援団体の取り組みの実情やその考え方についても説明を受けた。これらの調査と教育実践の検討を通じて、原発や放射線に関する見方が多様な中で、まずは一致している事実を確かめることが重要なこと、さらに見方の異なる内容については、それぞれの裏付けとなる事実を確かめあうこと、東日本大震災による被害を子どもも教師も受けていることに配慮した取り組みが重要なことが浮かび上がってきた。これらに関する知見は『福島第一原発事故後の現実の中で多様な価値観を認め合う教育をめざして』と題した報告集に集約した。
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環境教育学研究
巻: 26号 ページ: 65-83
生活指導
巻: 727号 ページ: 6-13
巻: 728 ページ: 46-53