研究課題/領域番号 |
26381024
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 敏子 三重大学, 教育学部, 教授 (20269129)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 新教育運動 / 職業観 / 勤労観 |
研究実績の概要 |
「新教育運動における職業観・勤労観―今日の移行問題の視点から―」という研究テーマのもと、職業観・勤労観に関わる教育構想・教育実践・教育成果を分析するために必要な第一次史料をドイツのオーデンヴァルト学校で収集した。また、新教育運動における職業観・勤労観が形成される背景を検討するための第一次史料をドイツの教育史研究図書館で収集した。 成果の具体的内容としては、1.論文 Der Uebertritt vom Lernen zur Erwerbstaetigkeit(ドイツ学術雑誌 Vierteljahrsschrift fuer wissenschaftliche Paedagogik に掲載)、2.口頭発表 Torn between Pacifism and Imperial Expansion (London開催の国際教育史研究学会で発表)、3.論文 Inazo Nitobe und die Widersprueche der japanischen Modernisierung(ドイツ学術書 Bildung an ihren Grenzen に所収)、4.論文 新渡戸稲造における修養論の位相(三重大学教育学部紀要に掲載)が挙げられる。 本研究の現段階における意義としては、新教育運動家の学校は裕福な家庭の子女を対象としていることから生徒の卒業後の収入源を想定した仕事をカリキュラムに導入する必然性が希薄であったにもかかわらず、職業観・勤労観の形成が強く意識されていたことが確認できたことである。 子ども中心主義を意識しつつ、同時に学校から社会への移行を意識していた新教育運動。この後者の側面がなぜ継承の対象として軽視されるに至ったのか。新教育運動における職業観・勤労観の実態の解明とともに、一面的受容のメカニズムを解明することは、現代における移行問題を検討するに際して大きな重要性をもつ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の新教育運動における職業観・勤労観に関する第一次史料の収集についてはまだ着手できていない状態であるが、ドイツの新教育運動における職業観・勤労観に関する第一次史料の収集については期待以上の成果があった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度にドイツのオーデンヴァルト学校で収集した第一次史料をもとに、職業観・勤労観に関わる教育構想・教育実践・教育成果を分析する。さらに、平成26年度にドイツの教育史研究図書館で収集した第一次史料をもとに、新教育運動における職業観・勤労観が形成される背景を検討する。 平成26年度に実施できなかった、日本の新教育運動における職業観・勤労観に関する第一次史料の収集を行う。
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