21世紀への世紀転換期以来、「学校から職場への移行」は重要な教育課題として認知されている。本研究は、20世紀への世紀転換期に展開された新教育運動における「学校から職場への移行」の取り組みを比較・分析することにより、21世紀への世紀転換期以来の重要な教育課題の一端をなす「学校から職場への移行」について、効果的な取り組みのあり方を考察することを目的としている。 平成27年度は、5月にオーデンヴァルト学校(ドイツ・ヘッペンハイム)、6月に玉川学園(東京)、1月に成城学園(東京)、2月に教育史研究図書館(ドイツ・ベルリン)でそれぞれ資料収集を行った。平成27年度の研究実施計画にそって、玉川学園とオーデンヴァルト学校の教育構想・教育実践・教育成果にみられる「職業観育成」および「勤労観育成」について比較・分析を行った。 玉川学園とオーデンヴァルト学校の教育構想・教育実践・教育成果にみられる「職業観育成」および「勤労観育成」について比較・分析した成果については、9月にドイツ教育学会・教育史部門が開催した会議「教育史問題としての教育改革」(オーストリア・ウィーン)において、「労働界への準備としての学校改革?ドイツ田園教育舎とその日本受容の比較から」と題して口頭発表した。さらに、玉川学園における教育構想・教育実践・教育成果にみられる「職業観育成」および「勤労観育成」については、さらに掘り下げ、「<職業観・勤労観の育成>へのまなざし」と題した紀要論文としてまとめた。 「職業観育成」および「勤労観育成」にみられる主観的側面の強調については、洋の東西を問わず確認されることが明らかにされた。この事実は同時に、「職業観育成」および「勤労観育成」の成果が文化的要因を超えたものに依存していることを示唆している。
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