本研究では、学校教育と社会教育のはざまに着目し、そのはざまを小学校教員が郷土教育によってつなごうとした点について明らかにした。具体的には、教育の目的論、学校と地域の関わりに着目して、昭和戦前期農村小学校教師たちによる郷土教育実践の位置づけを検討し、次の2点を分析した。1つは、当初学校教育の中で展開され、カリキュラム改造を伴いながら実践されてきた郷土教育が、農村地域において学校教育と社会教育のはざまを埋め、接続させる役割を果たしたことである。もう1つは、昭和期に入って初めてこの郷土教育運動が学校教育と社会教育をつなぐ教育論となりえたことである。
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