研究課題/領域番号 |
26381038
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 由美 埼玉工業大学, 人間社会学部, 教授 (10399123)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育史 / 台湾留学生 / 朝鮮留学生 / 内地留学生 / 日本統治時代 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本統治下(1920年代~1940年代中心)の台湾・朝鮮からの「留学生」(「内地」への進学生)の就学状況や社会生活の諸相を調査・分析することによって、彼らが社会的・歴史的にどのような役割を果たしたのかについて以下の諸点を明らかにすることにある。1)「留学生」(「在内地台湾・朝鮮学生」)に対する政策・制度の変遷と「留学生」数の推移 2)学校別(学校種・公立/私立・専攻・台湾/朝鮮)の「留学生」の送り出しと受入れの実態 3)「留学生」の就学状況や社会生活、進路の実態(専攻別・男女別・地域別のケーススタディ) 4)1)~3)の分析を通じて、時期的(皇民化政策の前後)にどのような違いがみられるか。 5)1)~3)の分析を通じて、台湾出身学生と朝鮮出身学生でどのような違いがみられるか。 具体的な研究実施計画として以下の7点を挙げていた。1.日本統治下台湾・朝鮮からの留学生年表の完成版作成(1920年代~1940年代) 2.日本統治下台湾・朝鮮からの留学生統計の更新版作成(1920年代~1940年代) 3.日本政府及び台湾総督府、朝鮮総督府の留学生政策と制度の変遷 4.台湾・朝鮮の公立学校及び私立学校からの留学生の送り出し(学校別事例研究) 5.日本の諸学校における台湾・朝鮮留学生の受入れ (学校別事例研究) 6.留学経験者の就学状況、社会生活の実態調査 (個別インタビュー) 7.台湾・朝鮮からの留学生の時期的な特徴、台湾と朝鮮との違いを分析 当初、平成28年度の計画は、2年目の継続と総括を行い、学会発表、論文発表を行うことを計画していたがそこまでには至らなかった。現在の研究実績としては、上記の1,2,3,5,6について一定の調査・分析を終え、まとめが進行中である。国内調査(奈良女子大学・岡山県立図書館)は実施した。今後は4を進め、7の包括的な分析に進む計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1)研究が遅れた一番の理由は、本務校における業務のためにまとまった調査の時間やその準備のための時間が取れなかったことである。台湾や韓国にそれぞれ1週間でかけるだけの日程が確保できなかった。 2)韓国のミッションスクールからの「留学生」送り出しについて、ミッションレポートから記事の抽出・複写を行ったものの、訳出が予定通り進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1)これまでの現地調査及び史料調査から台湾の留学生送り出し校を1校にしぼり、分析のまとめを行う。その際、補完的な調査の必要があれば台湾での調査も行う。 2)これまでの現地調査及び史料調査から朝鮮(=韓国)の留学生送り出し校を1校にしぼり、分析のまとめを行う。その際、補完的な調査の必要があれば韓国での調査も行う。 3)国内の台湾・朝鮮留学生の受け入れ校のうち旧制金川中学校の台湾・朝鮮留学生について学会発表を行い、先行研究の奈良女子高等師範学校や東京美術学校の台湾・朝鮮留学生に関する研究との比較研究、自身の研究:青山学院の台湾・朝鮮留学生との比較研究を行う。共通の傾向やそれぞれの特異性について検討し、受け入れ校に対する分析のまとめを行う。 4)インタビュー記録を再整理し、他者の行ったインタビュー記録も活用しながら、台湾・朝鮮からの留学生の具体相を描く。時期的、地域的、男女、年齢、出身家庭等、それぞれの特徴に注目しながら類型化、個性化といった視点から分析を行う。 5)研究のまとめを行う。学会発表を行い、得られた意見をもとに再調査や修正を行いがら研究論文の執筆や報告書の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)当初計画していた海外(台湾・韓国)での補完的史料調査が行えなかったため、旅費が使用できなかった。5~6日間程度のまとまった時間が本務校の業務の都合でとれなかった。 2)国内旅費も計上していたが、2度の史料調査(奈良・岡山)は行えたものの、奈良は他の業務と併せて行ったため旅費を使用しなかった。 3)学会発表を行う予定でいたが、準備が間に合わずに実行できなかったため旅費を使用しなかった。 4)報告書を作成する予定で印刷費を計上していたが、研究計画全体の遅延のためにそこには至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
1)物品費としては関係書籍の追加購入を予定している。 2)旅費は補完的史料調査(海外及び国内)、学会発表(上田女子短大他)で使用する。 3)人件費・謝金は英文訳やデータ入力の作業を継続中のため、それに当てる。 4)その他は報告書の印刷費や配布送料として使用の予定である。
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