音楽は情操や感性を豊かに育てるもの、経済的に余暇のあるものと捉えられがちである。しかしながら、現在、音楽は社会の形成や市民の形成、社会的紐帯をつくりだすものと捉えられている。これは文化的権利とかかわっている。本研究は日仏の音楽教育の比較をおこない、日本の文化的権利の状況を明らかにした。日仏の学校および学校以外の地域の音楽活動の実際を明らかにし、その事例を分析し、文化政策、教育政策、企業との関係を考察した。それによって、豊かな余裕のある人間だけではなく、経済的に余裕のないこどもたちも含めてすべての人々が音楽に参加し、創造し、受容することが可能な教育文化政策および文化の民主化、課題を明らかにした。
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