研究実績の概要 |
これまでに引き続き、コメニウス(J.A.Comenius,1592~1670)のPansophia(汎知)の理念の内容を解明することを目的として研究を行った。昨年追手門学院大学出版会から刊行した『コメニウス「世界図絵」の異版本」』において残された課題について考察するために、ポーランドおよびチェコに出張して調査した。そしてコメニウスの思想について理解を深めるためには、彼の生涯と活動についての考察に向かうことがどうしても必要であることを改めて認識した。なぜなら彼の思想の展開は、彼の置かれた状況と密接な関連が認められるからである。 コメニウスは広くヨーロッパで活躍した人であり、6つの国の博物館で展示が見られる珍しい人である。科研費の助成を得てそれらの国を訪ねた活動について「ヨーロッパのコメニウス関係博物館」として整理し、『Musa博物館学芸員課程年報 第32号』に収録した。 さらに、コメニウスのPansophiaの理念の研究とかかわって「教養教育」についての考察を行った。①「教師教育と教養教育」としてまとめた内容を、日本教師教育学会編『教師教育研究ハンドブック』(学文社)に収録した。②総合人間学会関西談話会において「大学における教養教育の必要性と可能性」と題する報告を行った。③日本教育方法学会紀要『教育方法学研究』第43巻に、山崎奈々絵著『教員養成改革と「教養教育」』(六花出版)に関する書評を執筆した。 以上の他「子どもの貧困」を中心にした課題研究のまとめを『教育方法学研究』に執筆した。また、日本教育学会第76回大会(桜美林大学)のラウンドテーブル「コメニウスにおける『汎知学の光』の考察」のコーディネイトを行った。
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