研究課題/領域番号 |
26381054
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
オムリ 慶子 関西学院大学, 教育学部, 教授 (20193823)
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研究分担者 |
大森 隆子 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (40213871)
甲斐 仁子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (50141833)
山田 りよ子 藤女子大学, 人間生活学部, 准教授 (00299736)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 保育史 / 幼稚園史 / 保育者養成史 / ドイツ・イタリア・アメリカ |
研究実績の概要 |
本研究は、1840年ドイツでフレーベルによって設立された最初の幼稚園の保育内容と、初期の保育者養成カリキュラムの内容を、文献研究とともに博物館に残されている保育者養成カリキュラム表や手技等の制作物を調査し、それがどのように日本にもたらされたのかという道筋を調査研究することによって、現在の日本の保育の保育者養成カリキュラムや実践に継承されている事柄を明らかにするものである。 日本の幼児教育近代化に影響を与えた諸外国はドイツをはじめ、イタリア、アメリカであるが、本年度は、ドイツ、バード・ブランケンブルクのフレーベル博物館と、学校法人関西学院 聖和短期大学・キリスト教教育・保育研究センターの史料調査とその分析をおもに行った。その結果、本年度に明らかになったことは以下の3点である。 ①日本への幼稚園導入の影響は、ドイツ直輸入よりアメリカ経由の影響のほうが大きいこと。②しかしながら、ドイツの博物館に保存されているフレーベル自身やその生徒たちによる手技(折紙などの制作物)は学校法人関西学院 聖和短期大学・キリスト教教育・保育研究センター保管の史料にも全く同じ形式のものが見られたため、ドイツでフレーベル自身が養成校で教えていたことが、日本の初期の養成校の中で忠実に継承されていることが明らかになった。③また、日本の養成校で忠実に継承されているということは、日本の保育者養成カリキュラムに多大な影響を与えたアメリカにおいても、ドイツの初期養成校の内容が継承されていた可能性があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツでの調査は、思ったより収穫物が少なかったが、学校法人関西学院 聖和短期大学・キリスト教教育・保育研究センターでの収穫は大きかったため、順調と評価した。 その理由は、ドイツでは調査対象としていた博物館の内1軒(オーバーヴァイスバッハのフレーベル生家跡の博物館)には史料が残されていないことがわかり、バード・ブランケンブルクの博物館調査だけにとどまった。内部事情によると、フレーベル幼稚園がナチスに利用されたという過去の事実から、政治的な理由でフレーベルの史料が整理(処分)されてしまっていることや、現在は幼稚園が子育て支援の福祉施設化してしまっていることから、国がフレーベル史料の保存に力を入れていないという事情があるようである。さらに東西ドイツ統一の折に、西の研究者がフレーベル資料を私物化してしまったという事情も館長が話をされていた。また、学校法人関西学院 聖和短期大学・キリスト教教育・保育研究センターに残されている史料と比べ、子どもの作品が全く残されていないというのも特徴的であり、西洋と日本の子ども観の差を感じた。 一方、学校法人関西学院 聖和短期大学・キリスト教教育・保育研究センターでは、教育学部および聖和短大の前身である広島女学校保姆師範科の史料が、大阪のランバス女学校との統合に伴って運よく原爆を逃れたことと、そのため史料が豊かに残されており、子どもの作品、生徒のノート、教師の授業ノートなど量的にも質的にもよい史料が残されていた。 これらのことから、現段階ではおおむね研究は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、初年度の研究結果を踏まえ、イタリアの19世紀末の保育者養成や幼稚園の実態について調査を行う予定である。また国内は、頌栄短期大学に残された史料の調査も予定している。 日本最初の幼稚園である東京女子師範学校附属幼稚園保姆・豊田扶雄の足跡をたどる意味で、彼女がイタリアで見聞きした幼稚園や保育者養成の実態はどうであったかを調査するとともに、日本の保育者養成カリキュラムに影響を与えた頌栄保姆伝習所(頌栄短期大学)の史料調査と分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書費や文具などが予定していたよりも安価であったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究費の大部分は、平成26年度と同様、旅費に充てることになる。また同時に、イタリアでの研究協力者への謝金、および研究書購入を予定している。
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