研究課題/領域番号 |
26381055
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
矢野 裕俊 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80182393)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習成果 / 教育目標 / アセスメント / 国際比較 / カリキュラム論 |
研究実績の概要 |
平成26年度は研究第1年次であり、研究代表者が本研究を推進するための計画実施計画を確定することから始めた。当該年度の研究実施計画は、①国内・外国の教育目標とアセスメントに関する理論的研究の包括的把握と、②諸外国における学習成果の目標設定とアセスメントの動向把握の2点であった。①については,教育目標論や学習成果評価論などの面での研究成果の収集を開始した。そうした図書をはじめインターネットで提供されている資料などのリストアップを行い、必要な図書については一部を購入・利用し、研究室内に設けた特設資料コーナーに配置した。しかし、関連する理論的研究の包括的整理は始まったばかりであり、平成27年度に引き継がれることとなった。 また、②についても、行政機関や調査研究機関が提供する資料を中心に収集し、それらの検討を行った。それにより,諸外国の学習成果の目標設定とアセスメント改革に関する大まかな動向をつかむことができた。得られた知見は、知識の習得よりも学習成果に注目した目標設定を採用するという傾向が近年特に顕著にみられるということである。こうした文献資料による動向把握を検証するために予定していた外国訪問調査は、相手先との連絡調整が難しく、当初計画していたシンガポールの訪問は平成26年度に関しては見送ることとなった。しかし、外国調査としては、中国のハルビン市を訪問し、小学校、中学校、高級中学校において授業の見学とともに、校長、教師への聞き取り調査を実施した。それにより、中国においても知識よりも調査や思考、表現の能力を学習成果としてあらかじめ目標に設定して授業を行うことが始まっていることが確認できた。 研究協力者の参加を得て、研究打ち合わせを1回、研究会を1回、それぞれ研究代表者の所属機関において行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は研究のための調査に十分な時間を確保することが難しく、研究実施計画の具体化と研究のスタートも遅くなってしまった。また調査協力の受け入れ先を見つけるのにも手間取ったため、外国訪問調査が9月の中国(ハルビン市)1箇所に限られた。しかし、文献等による諸外国の調査はある程度進められたので、研究題目に係る資料の収集とそれらの検討をとおして、調査予定国における教育目標設定やアセスメントの仕組みの全般的な状況について大まかな理解を得ることができた。 「やや遅れている。」と自己評価した理由は、主として外国訪問調査において,当初考えていた規模で実施することができなかったためであり、これは3カ年にわたる研究計画全体の中では若干の遅れであると認識している。研究2年次になる平成27年度と、平成28年度の前半までには十分に取り戻せる遅れである。
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今後の研究の推進方策 |
研究第1年次に十分に取り組めなかったことについて早期にその対応策を検討し、全体としては当初計画に基づきつつも、必要な研究実施計画の手直しを含む計画の確認を行う。さらに、研究の実施においても年度早めから研究協力者との研究会の開催を進めるなどにより、研究の達成がやや遅れている状況を取り戻す。第2年次は調査研究活動の中心的な期間となるため、文献による研究はほぼ平成27年度に完了する予定である。また、学期と学期の間など、外国調査が可能な時期を早期に確保し、外国調査のための計画と準備を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度研究実施計画において予定していた調査対象国への外国訪問調査が実現の見通しを得られなかったため、当初予算のうち旅費の使用が予定を下回った。また、人件費・謝金については、研究補助業務に従事する人員を当初予定していたほど十分に得ることができず、人件費の使用が予定を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には外国調査を早期に計画し、平成26年度の次年度使用額を含めて主として研究旅費に充当し、研究協力者の調査への同行により外国調査を実施する計画である。
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