研究課題/領域番号 |
26381056
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田村 知子 岐阜大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90435107)
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研究分担者 |
西岡 加名恵 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20322266)
村川 雅弘 鳴門教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50167681)
吉冨 芳正 明星大学, 教育学部, 教授 (60550845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カリキュラムマネジメント / PDCAサイクル / ガイドブック / カリキュラム設計 / カリキュラム評価 / カリキュラム開発 / チーム学校 / 校内研修 |
研究実績の概要 |
初年度の課題は、①現行学習指導要領実施におけるカリキュラムマネジメントの実態と課題の解明および②課題を克服しカリキュラムマネジメントを効果的かつ円滑な支援を行うための方法の収集・分析であった。 ①については、カリキュラムマネジメント・モデルを利用した実践分析を集合型教員研修で実施し、そこに記述された質的データを随時収集しデータ入力作業を行っている。また、当該分析手法以外にもチェックリスト方式やアンケート方式のカリキュラムマネジメント評価の方法があるため、それらの方法によって何がどのように評価できるのかという評価ツールの特徴についても検討中であり、これについては日本カリキュラム学会で口頭発表を行った。また、広範なデータとして、全国学力・学習状況調査のデータを利用した分析についても検討している。 ②については、各メンバーが学校や教育委員会を訪問調査しているだけでなく、学校や教育委員会と共同研究を進め開発的な研究を進めている。たとえば、研究代表者はカリキュラム文書の工夫によるカリキュラムマネジメントの促進の観点から、各地の学校でスコープやシークエンス、あるいは学校としての取組への気づきを促すよう意図的に作成されたカリキュラム文書の収集・分析を行った。その成果は、教員向けの一般書や雑誌、大学紀要論文として発表した。分担者吉冨は学力形成に果たす教育課程の役割を事例研究により明らかにした。 なお、本研究は、ガイドブックの開発をゴールのひとつとしている。この点に関しては、2回の研究会議における検討によって、その内容構成がかなり明確になってきており、当初計画より早い段階での執筆と試行、公刊をめざしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガイドブック作成については、当初の計画より進行している。研究メンバー各自のこれまでの研究成果の蓄積があり、これらについて研究会議で整理したところ、適切な役割分担によりガイドブックの内容構成を早期に構想することができた。出版社との交渉も進んでおり、次年度中の書籍公刊をめざしている。 実態調査実施については、学校訪問調査は精力的に進行している。一方、質問紙調査については実施を見送ることにした。理由は、既に質的なデータ(カリキュラムマネジメント・モデルを利用した実践分析への質的記述など)の収集が進んだこと、全国学力・学習状況調査のデータが入手できたことなどにより、当面必要なデータは十分であると判断されたためである。 データ分析を2年目の課題としているので、今年度は学生アルバイトを雇用し入力作業を進めているが、質的なデータの入力には時間がかかり、学生のスケジュールの関係もあり、作業があまり進展していない。雇用者を増やすことなどを検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の進行方策は次の3点である。 まず、実態調査データの解析を進める。そして、カリキュラムマネジメントの実態の典型例を抽出し、課題への対応策を考察する。また、質的なデータ収集過程は、調査協力者である各学校や教員にとってはカリキュラムマネジメント評価の過程でもある。そこで、学校のカリキュラムマネジメント促進に直結する評価手法についての整理も同時進行で行う。 次に、カリキュラムマネジメントの方法を整理し、ガイドブックの執筆を行う。これまでも、各メンバーの開発的研究の知見を交流させてきたので、他メンバーの開発した知見を別のメンバーが実践化および検証するなどしてカリキュラムマネジメントの方法を洗練する。ガイドブックの構成案はほぼできたので、9月中に仮原稿を執筆する。その内容は、共同研究校等への適応などを経て精査し年度内の一旦の完成をめざす。 さらに、高等学校(SSH,SGH)における探究的な学習のカリキュラム評価および改善について複数の研究協力校からなる研究組織を立ち上げつつある。こちらは平成27~28年度に研究を推進し、平成28年度末までにまとめることを計画している。 最後に、カリキュラムマネジメント研究および実践の発展のため、新たな知見を海外研究等から得ることも合わせて進め、本研究の成果に追加していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究会議2回のうち1回を学会の期日と重ねたため、旅費を節減できた。予定していた郵送の質問紙調査に代替可能なデータを入手したため、郵送費を節減できた。
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次年度使用額の使用計画 |
データ入力に予想以上に時間がかかっているため、アルバイト学生を増やして入力するための謝金に使用する。
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