本研究では2007年にスイス州公教育長会議において2年間の幼児学校就学義務が協定として締結されたことに着目し、次の4点、すなわち、①義務化の制度、②義務化の経緯、③義務化の政策意図、④義務化の論拠を明らかにした。このうち、義務化の論拠については、当初は基礎期の議論が中心であり義務化は課題とされており、2001年においても就学義務より基礎期による早くからの選抜の回避が主眼とされていたこと、それが2003年になるとPISAの影響により義務化の議論が幼児学校の普遍化、機会均等の原則を論拠として重視され、最終的に2006年により機会均等の重視に基づく義務化の議論として決着することを明らかにした。
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